今日は、経済学のR6第9問について解説します。
日本(円)と米国(ドル)を例にして、為替レートの決定を考える。為替レートの決定に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 輸出の増加によって日本の経常収支の黒字が拡大すると、為替レートには円高ドル安の圧力が働く。
b 輸出の増加によって日本の経常収支の黒字が拡大すると、為替レートには円安ドル高の圧力が働く。
c 米国の金融資産の収益率が高くなることで日米の金融資産の収益率の格差が拡大すると、日本の金融収支は赤字になり、為替レートには円高ドル安の圧力が働く。
d 米国の金融資産の収益率が高くなることで日米の金融資産の収益率の格差が拡大すると、日本の金融収支は黒字になり、為替レートには円安ドル高の圧力が働く。
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
解説
為替レートの決定に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
為替レートの決定⽅法は、超短期の場合はアセットアプローチ、短期の場合はフローアプローチ、⻑期の場合は購買⼒平価説によって説明されます。
アセットアプローチは、資産は利⼦率などの収益性が⾼い⽅に移動するという考え⽅で、動きの速い投機的な資⾦の移動について説明した理論です。具体的には、利子率が高い国のほうに資産が移動するため、その国の通貨の需要が増え、その国の通貨高になります。例えば米国が利上げをすると日本より利子率が高くなり、相対的にドルの需要が増え円の需要が減るため、ドル高・円安になります。
フローアプローチは、貿易が貨幣の需要と供給に影響し為替レートが変化するとした理論です。具体的には、輸⼊が増えると外貨の需要が増え、相対的に円の需要が減るため円安になるという考え⽅です。
購買⼒平価説は、物価⽔準が為替の需給に影響し、物価の変化が為替に反映されるという考え⽅です。例えば、同じビッグマックが⽇本では300円、⽶国では2ドルで売られていたとします。この場合、1ドルは150円分の価値を持っているということですので、為替レートは150円/ドルとなります。しかし、ビッグマックの価格が⽇本は300円のまま、⽶国では物価が1.5倍になり3ドルになった場合、ビッグマック換算の為替レートは100円/ドルとなり、円⾼になります。
また、現在の為替レートに対し将来の為替レートがどう動くかを考える⾦利平価説という考え⽅もあります。⾦利平価説は、どの通貨で資産を持っても同じ収益率になるように為替レートが決まるという考え⽅です。
それでは選択肢をみていきましょう。
a:その通りです。フローアプローチの内容です。輸⼊が増えると外貨の需要が増え、相対的に円の需要が減るため円安になるということは、輸出が増えるとその逆で円高になります。
b:誤りです。フローアプローチの内容です。輸出が増えると円の需要が増え、相対的に外貨の需要が減るため円高になります。
c:誤りです。アセットアプローチの内容です。利子率が高い国のほう国の通貨高になるため、米国のドルの需要が増え日本の円の需要が減り、円安ドル高になります。
d:その通りです。アセットアプローチの内容です。利子率が高い米国の通貨高になるため、円安ドル高になります。
以上から、a:正 b:誤 c:誤 d:正ですので
正解は選択肢イとなります。
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