【過去問解説(経済学)】R3 第6問 (1)(2) IS-LM分析

今日は、経済学 R3 第6問 設問1、2 について解説します。

 経済学 R3 第6問 設問1、2

下図は、IS 曲線と LM 曲線を描いている。この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問 1 )
LM 曲線が垂直になる例として、最も適切なものはどれか。

ア 貨幣需要の利子弾力性がゼロである。
イ 貨幣需要の利子弾力性が無限大である。
ウ 投資需要の利子弾力性がゼロである。
エ 投資需要の利子弾力性が無限大である。

(設問 2 )
LM 曲線が垂直であるときの財政政策と金融政策の効果に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。なお、ここでは物価水準が一定の短期的な効果を考えるものとする。

a 政府支出を増加させると、完全なクラウディング・アウトが発生する。
b 政府支出を増加させると、利子率の上昇を通じた投資支出の減少が生じるが、GDP は増加する。
c 貨幣供給を増加させると、利子率の低下を通じた投資支出の増加が生じるが、GDP は不変である。
d 貨幣供給を増加させると、利子率の低下を通じた投資支出の増加によって、GDP は増加する。

〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd

解説

IS-LM分析に関する問題です。
まとめシートで以下の通り解説しています。

それでは選択肢をみていきましょう。

(設問1)

LM曲線の傾きが⼩さくなると、拡張的な財政政策を⾏ったときの効果が⼤きくなります。
ですので、LM曲線が垂直というのは、傾きが大きくなり最大まで進み、財政政策を行った時の効果、つまり貨幣の利子弾力性がゼロになっている状態です。
なお、貨幣需要の利子弾力性とは、利子率が1%動いたときに、貨幣需要が何%動くかを示す係数のことをいいます。

以上から、垂直になる例としては、貨幣需要の利子弾力性がゼロのときですので
正解は選択肢アとなります。

(設問2)

:その通りです。クラウディング・アウトとは、政府支出の増加が利子率を上昇させて、民間の投資を減少させてしまう現象をいいます。
よって、この選択肢は〇です。
:誤りです。利子率が上昇しても、クラウディング・アウトが発生するため、政府支出の増加分が投資の減少分により相殺されてしまうため、GDPは不変である。
よって、この選択肢は×です。
:誤りです。貨幣供給を増加させると、LM曲線が右にシフトするため、利子率が低下し民間投資が増加します。それによりGDPは増加します。
:その通りです。選択肢cでsで説明の通りGDP は増加します。

以上から、正しい組み合わせはaとdですので
正解は選択肢イとなります。

 

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