今日は経済学のR2第11問について解説します。
グローバル化の進展には、資本移動と為替レート制度が重要である。ここでは、マンデル=フレミング・モデルの完全資本移動かつ小国のケースを考える。
変動為替レート制下での財政政策と金融政策の効果に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 財政拡大政策は、完全なクラウディング・アウトを引き起こし、所得は不変である。
b 金融緩和政策は、自国通貨高による純輸出の減少を引き起こす。
c 財政拡大政策は、自国通貨安による純輸出の増加を引き起こす。
d 金融緩和政策は、純輸出の増加を通じて、GDP を押し上げる。
〔解答群〕
ア aとb
イ aとd
ウ bとc
エ cとd
解説
マンデルフレミング・モデルに関する問題です。
マンデルフレミング・モデルは、まとめシートでも説明しましたが、風が吹けば桶屋が儲かる的なストーリーをしっかり覚えておけば対応できる問題が大半です。
完全資本移動かつ小国で変動為替レート制下にあるとき、拡張的な財政政策を行った場合は、
①IS曲線を右にシフトさせ、利子率iが増加します。
②利子率iが増加すると高い利子率を求め、資金が流入します。
③資金流入に伴い通貨高になります。
④通貨高になると輸入が増え、輸出が減るのでIS曲線は左にシフトし、均衡国民所得は減少します。
また、拡張的な金融政策を行った場合は、
①LM曲線を右にシフトさせ、利子率iが低下します。
②利子率iが低下すると他国の高い利子率を求め、資金が流出します。
③通貨流出に伴い通貨安になります。
④通貨安になると輸入が減り、輸出が増えるのでIS曲線は右にシフトし、均衡国民所得は増加します。
これを踏まえて各記述を見ていきましょう。
記述aは、上記の説明の通りで○です。
記述bは、拡張的な金融政策を行った場合、通貨安による輸出の増加を引き起こすので×です。
記述cは、拡張的な財政政策を行った場合、通貨高による輸出の減少を引き起こすので×です。
記述dは、その通りで、拡張的な金融政策を行った場合、通貨安による輸出の増加を引き起こし、GDPを押し上げるので○です。
以上から記述aとdが○で、正解は選択肢イです。