今日は経済学H30第17問の需要の所得弾力性に関する問題について解説します。
下図には、所得と財の需要量の関係を表すエンゲル曲線が描かれている。これらの図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 下級財に関するエンゲル曲線は右図である。
イ コメなどの食料品は、一般的に生活必需品であるので、右図のようなエンゲル曲線を描くことができる。
ウ 左図のエンゲル曲線は、需要の増加の程度が、所得の増加の程度より小さくなることを示している。
エ 左図は、需要の所得弾力性が 1 より小さい場合のエンゲル曲線である。
解説
エンゲル曲線というあまり聞きなれないグラフが登場していますが、需要と所得の関係性から、左のグラフは上級材、右のグラフは下級材を示していることが分かります。
それでは、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは所得が増加するとともに財の需要量が低下していることがわかります。所得が増加するとともに消費が減る財が下級材ですので、この選択肢が正解です。
よって、選択肢アが正解となります。
念のため、他の選択肢も確認しましょう。
選択肢イは、必需品に関する説明です。コメなどの必需品は所得が増えるとともに消費量が増えるものではありません。所得が増加すると共に、所得に対する需要量が低下するため、グラフは右上がりで”“の形となります。
よって、この選択肢は誤りです。
選択肢ウについては、左図の曲線の[(財の需要量の変化量)/(所得の変化量)]の値を見ると、需要の増加の程度が、所得の増加の程度より大きくなっています。
よって、この選択肢は誤りです。
選択肢エは需要の所得弾力性とありますので、選択肢ウと同様に考えて[(財の需要量の変化量)/(所得の変化量)]を見ると、1より小さいとは言い切れません(徐々に大きくなっていきます)。
よって、この選択肢は誤りです。
以上より、選択肢アが正解となります。