【過去問解説(経済学)】H27 第4問 消費に関する理論

今日は経済学H27第4問の消費のライフサイクルモデルに関する問題について解説します。

経済学H27第4問

ライフサイクルモデルの消費と貯蓄に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、生涯所得を一定とし、選択肢中にある貯蓄率とは所得に対する貯蓄の割合をさす。

ア 個人の各期の消費は、個人の年功所得にあわせて変化する。

イ 個人の各期の貯蓄は、生涯を通じて一定である。

ウ 労働から引退した高齢者の、人口全体に占める割合が大きくなれば、貯蓄率が低くなる。

エ 労働しない若年者の、人口全体に占める割合が大きくなれば、貯蓄率が高くなる。

解説

ライフサイクルモデル(ライフサイクル仮説)とは、足もとの消費行動は、一生涯を通じた収入を見据えて行われるという考え方です。例えば、老後に備えて個人年金を行ったり、子どもの教育資金のために学資保険に加入したりするのは、将来の所得と消費のバランスを見越した貯蓄行動です。以上の事から、生涯の各期における貯蓄と消費は、一生涯の所得と消費を見据えて決まると言えます。

選択肢アは、ライフサイクルモデルは、一生涯の所得が平準化されるように各期の消費が決定されるという考え方です。つまり、個人の各期の消費は、個人の年功所得に合わせて変化するのではなく、一生涯の所得に対して一定といえます。
よって、この選択肢は誤りです。

選択肢イは、貯蓄が一生涯、定額で行われていると説明しています。ライフサイクルモデルは、生涯を通じて所得と消費が一定になるという考え方です。よって、貯蓄額はその各期の所得に応じて決まると考えられます。所得が多い年(働いて役職に就いている等)は貯蓄額が増えますし、所得が少ない年(年金生活をしている等)は貯蓄を切り崩していると言えます。
以上から、この選択肢は誤りといえます。

選択肢ウについては、労働から引退した高齢者の状況を想像してみましょう。老後の生活に備えて積み立てた年金(貯蓄)を取り崩して生活していると考えられます。したがって、人口全体に占める割合が大きくなるほど、貯蓄を取り崩している割合が大きいということなので、貯蓄率が低くなると言えます。
よって、選択肢ウが正解です。

念のため選択肢エも確認しましょう。

選択肢エは、労働していない若年層が多いということですから、彼らの所得自体が少ないと言えます。したがって、貯蓄できる額も少ないと考えられます。以上の事から、労働していない若年層が増えるほど、貯蓄率は低下すると言えます。
よって、この選択肢は誤りです。

以上より、選択肢ウが正解となります。

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