今回は第10問の余剰分析の問題を解説します。
この問題は「余剰」とは何か、ということの良い勉強にもなる問題です。
H30 経済学 第10問
生産者余剰について考える。いま、A〜E の5つの企業から構成される社会を想定する。下図では、それぞれの企業が、生産を継続するために最低限回収しなければならないと考える金額(生産物 1 単位当たり)が示されている。
この図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 市場価格が 400 円を上回れば、 5つの企業すべてが生産を行う。
イ 市場価格が 600 円の場合、 3つの企業は生産を行わないので、社会全体の生 産量は 2 単位である。
ウ 市場価格が 1,400 円の場合、社会全体の生産者余剰は 1,800 円である。
エ 市場価格が 1,600 円を上回ると、生産を行うのは E のみである。
この問題を解く上で、まず、生産者余剰とは何ぞやということを振り返ってみましょう。
生産者余剰とは、ある財に関して、生産者が売ってもよいと考える金額からその財の価格を差し引いた金額のことをいいます。
それぞれの企業は、ある財の価格が生産を継続するために最低限回収しなければならないと考える金額(生産コストのイメージ)を上回った場合、売ると利益が上がりますので売っても良いと考えます。
この問題のA〜Eの5つの企業の例で考えてみましょう。
市場価格が1400円のとき、ある財を売ると利益が上がるのは生産コストが1400円よりも低いA、B、C社です。
A、B、C社は生産コストがそれぞれ400円、800円、1200円ですので、市場価格が1400円であれば、そこから生産コストを差し引いた1000円、600円、200円がそれぞれの利益となります。
この利益のことを生産者余剰といいます。
ちなみに、D、E社は生産コストがそれぞれ1600円、2000円となっており、市場価格の1400円で売ると赤字になってしまいますのでこの場合、D社、E社は財を売りません。
これを踏まえて各選択肢を見てみましょう。
選択肢アは、上記で説明したように市場価格が400円だとA社以外は財を売っても赤字になるので売りません。
よってこの選択肢は×となります。
市場価格が600円の場合、B、C、D、E社は生産コストの方が市場価格より高くなり、生産しても意味がなくなるので生産を行いません。
しかし、選択肢イは「3つの企業は生産を行わない」と書いてあり、生産を行わないのは3つではなく4つなのでこの選択肢は×です。
選択肢ウの市場価格が1400円を上回る場合の生産者余剰を計算してみましょう。
冒頭の例で確認したとおり、市場価格が1400円のとき、生産を行うのはA、B、C社です。
A、B、C社は生産コストがそれぞれ400円、800円、1200円ですので、1400円からそれぞれを差し引いた、生産者余剰はそれぞれ、1000円、600円、200円であり、合計すると1800円となります。
以上から選択肢ウは○と判断できます。
なお、選択肢エは市場価格が1600円を上回るとE社以外は皆生産を行うため×です。
以上から正解は選択肢ウとなります。
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