今回は需要の価格弾力性に関する問題について解説します。
この問題は、弾力性とは何かを定性的に説明できれば解ける問題ですが、需要の価格弾力性と企業の価格戦略の関係について説明できる必要があるため、経済学だけでなく企業経営理論でも問われうる問題です。
H29 経済学 第13問
需要の価格弾力性は、価格の変化によって売上額に影響を及ぼす。需要の価格弾力性と価格戦略に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 需要の価格弾力性が1より小さい場合、企業が価格を引き下げる戦略をとると、売上額は増加する。
b 需要の価格弾力性が1より小さい場合、企業が価格を引き上げる戦略をとると、需要が減少して、売上額も減少する。
c 需要の価格弾力性が1に等しい場合、企業が価格を変化させる戦略をとっても、売上額は変化しない。
d 需要の価格弾力性が1より大きい場合、企業が価格を引き下げる戦略をとると、売上額は増加する。
[解答群]
ア aとb
イ aとc
ウ bとd
エ cとd
需要の価格弾力性と企業の価格戦略の関係について問われています。
そのため、まずは需要の価格弾力性というのがどのようなものだったか、ということを思い出しましょう。
需要の価格弾力性とは、
価格が1%低下したとき、需要が何%増加するかを表したもの
でしたね。
つまり、需要の価格弾力性が1よりも小さい、例えば0.5の場合は、価格が1%低下しても需要は0.5%しか増加しないということになります。
逆に、需要の価格弾力性が1よりも大きい、例えば2の場合は、価格が1%低下すると需要が2%増加するということになります。
これを踏まえると、価格弾力性が1よりも小さい場合は、せっかく値下げしても需要はあまり増加しないので企業の売上額は増加しないことになります。
逆に価格弾力性が1よりも大きい場合は、値下げをすると需要ががっつり増加するので、企業の売上は上がります。
以上から、選択肢aは×、選択肢dは○ということがわかります。
選択肢を見てみるとaが×でdが○の選択肢はウとエなので、正解はウかエのどちらかだろう、ということが考えられます。
そこで、bについて検討してみます。
需要の価格弾力性が1より小さい場合、企業が価格を引き上げる戦略をとるとどうなるか考えてみます。
需要の価格弾力性が1より小さい、例えば0.5であれば、企業が価格を1%値上げした場合でも需要は0.5%しか減らない、という風にも考えることができます。
そうすると企業は値段を上げても需要は減らないので、値上げによる売上増が需要の減少による売上減を上回り、売上が増加すると考えられます。
よって「需要が減少して、売上額も減少する」という記載は誤りであるということがわかり、bは×なため、選択肢ウが削られ、正解は選択肢エとすることができます。
そうすると、cは○ということになりますが、念のため見てみると、需要の価格弾力性が1に等しい場合、企業が価格を1%値下げした場合、需要は1%増えるので結果として売上は変わりません。
よってcは○と考えられます。
以上のように適切なものの組み合わせを選ぶ問題では、まずは自分がわかりやすいところから検討して、選択肢を削りながら正解を導く、という解き方をすると効率的です。
また、抽象的な説明だといまいち考えにくい場合は具体的な数字に置き換えてみて考える、という方法をとると問題が解きやすくなる場合があります。
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