【過去問解説(経済学)】H29第11問 課税の効果

今回は経済学の課税の効果に関する問題について解説します。

 

H29 経済学 第11問

下図によって間接税(従量税)の経済効果を考える。需要曲線をD、課税前の供
給曲線をS、課税後の供給曲線をS′で表す。税は生産物単位当たりtとし、納税義務者は生産者とする。下図では、税負担がすべて消費者に転嫁されている。
この図に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

 

a 税負担がすべて消費者に転嫁されるとき、消費者の支払う税額は四角形PEE’P’で示される。
b 税負担がすべて消費者に転嫁されるとき、生産者の受け取る価格は課税前に比べてtだけ低下する。
c 税負担がすべて消費者に転嫁されるのは、需要の価格弾力性がゼロだからである。
d 税負担がすべて消費者に転嫁されるのは、生産量の増加に伴って限界費用が増加するからである。

[解答群]
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd

 

 

課税の効果に関して、今回の問題では需要曲線が垂直になった場合という極端なケースについて問われています。

ですがもし、垂直の場合がどうなるかわからない、もしくは知らない、というような場合、まずは下の図のように傾きが急な曲線の場合で考えてみるというのも一つの方法です。

 


図1

それでは早速それぞれの記述を見ていきましょう。
まずはaについてです。
課税額は図1の場合だと需要曲線と供給曲線の交点を通る赤い平行四辺形の面積となります。
このグラフがさらに急になっていったと考えると、問題の場合、課税額は図2のようにピンクの網掛けの平行四辺形の部分となります。

この平行四辺形は図にの赤い点線で表す長方形に面積が等しいので、課税額は四角形PEE’P’で示される面積となります。

よってaは○と考えられます。

 

図2

 

次にbについてです。

元々はPだった価格が増税によりP+tとなりますが、税負担は全て消費者に転嫁されるので、消費者の税の負担額は増えますが、生産者の受け取る額はPで変化はありません。

よってbは×と考えられます。

 

さらに、cについてです。

需要曲線が垂直になっているので、需要の価格弾力性は0であり、図1を見ればわかる通り、需要曲線の傾きが急になればなるほど消費者負担の割合が増え、生産者負担の割合は減り、ものすごく急(つまり需要の価格弾力性=0)になると最終的に生産者負担は0となります。

よってcは○と考えられます。

いまいち理解しにくい方は、傾きの違う需要曲線を何本か書いてみて消費者負担の割合と生産者負担の割合の変化を確認してみるといいでしょう。

 

dは、限界費用曲線、つまり供給曲線はこの問題の図では直線で、一定なため「生産量の増加に伴って限界費用が増加する」というのは×です。

 

以上から、aとcが○で、正解は選択肢アとなります。

 

 

 

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