今日は、経済学・経済政策 R5 (再試) 第6問について解説します。
投資の決定に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア ケインズの投資理論では、利子率の低下、投資費用の増加、投資から見込まれる将来収益の増加に応じて投資支出が増加することになる。
イ 新古典派の投資理論では、最適資本量と既存の資本量のギャップを埋めるように投資が行われ、資本のレンタル・コストの上昇や労働投入量の増加に応じて最適資本量も増加することになる。
ウ 投資の加速度原理では、生産量が拡大するほどストックとしての投資支出も増加することになる。
エ トービンの q 理論では、株式市場における企業の市場価値が上昇するほど、また、資本の再取得価格が下落するほど、投資支出が増加することになる。
解説
投資に関する理論に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
・新古典派の投資理論とは、資本の限界⽣産性は逓減するため、資本の限界⽣産性が資本の使⽤者費⽤と等しくなるとき、企業の利潤は最⼤化するという考え⽅です。資本の使⽤者費⽤とはレンタルコストともいい、資本を得るためにかかる費⽤である利⼦などのコストや、資本を使うことによって発⽣する資本減耗のことをいいます。
・加速度原理とは、投資はGDPの増加分に⽐例するという考え⽅です。資本をGDPで割った資本係数は⼀定で、ある時点で社会や企業が抱えている資本の量である資本ストックは、1期のうちに望ましい量になると仮定した場合、今期の投資は以下の式で表せます。
今期の投資 =今期の資本ストック−前期の資本ストック =資本係数×(今期のGDP−前期のGDP)
・トービンの q 理論では、とは、以下の式をトービンのqとし、トービンのqが1より⼤きければ投資をし、1より⼩さければ資本ストックを売るという考え⽅です。
トービンのq=企業の市場価値÷現存の資本ストックを買い換える費⽤の総額
企業の市場価値とは、負債価値+株式価値のことを表します。qが1より⼤きい場合、企業の市場価値は資本ストックの価値よりも⼤きく、資本ストックを使って財を⽣み出した⽅が⼤きな価値を⽣むため、企業は資本ストックを増やして財を増やそうとします。逆にqが1より⼩さい場合、企業は資本ストックを市場で売却した⽅が利益が上がるため資本ストックを売却します。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:その通りです。
よって、この選択肢は〇です。
以上から、正解は選択肢エとなります。 トービンのq理論の基礎知識を思い出すことが出来れば、1発解答で時間をかけることなく次の問題に行くことが出来ますね。
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