今日は、経済学・経済政策 R5(再試) 第21問について解説します。
経済学において定義される「公共財」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 公共財とは、政府が供給する財・サービスに限定され、その中には低所得者向けの医療扶助が含まれる。
イ 公共財とは、その供給に当たって巨額の固定費用がかかる財・サービスのことであり、生産量の増大に伴って長らく平均費用が逓減するために民間企業では採算がとれない。
ウ 公共財は、ある人の消費が他の人の消費を減らしてしまうという性質を備えているため、できるだけ受益者を限定して供給することが求められる。
エ 公共財は、すべての人が潜在的に同じ量を消費できるという等量消費的な性質を備えており、その中には社会における良好な治安が含まれる。
オ 公共財は、対価を支払わない人の消費を排除できるという性質を備えており、その中には手数料を対価とした、地方自治体による住民票の発行サービスが含まれる。
解説
公共財に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
・財は、ある⼈が消費すると別の⼈の消費が減るかどうかという競合性と、対価を払わない⼈も使えるかどうかという排除性という観点から、私的財、クラブ財、共有資源、公共財に分類できます。競合性と排除性があるのが、⾷料品や⾐料品のような私的財、競合性はない(⾮競合性)ものの排除性はあるのが、有線放送や映画配給のようなクラブ財、競合性はあるものの排除性はない(⾮排除性)のが、⽔産資源や⽊材のような共有資源、競合性も排除性もない(⾮競合性、⾮排除性)のが、国防や警察、消防のような公共財です。また、⾮競合性・⾮排除性どちらか⼀⽅のみの性質を持つ財を準公共財と呼びます。
・公共財はその性質から、対価を払わずにタダ乗り(フリーライド)しようとする⼈々が現れやすいため、市場の取引に任せていると過少供給に陥りやすい財です。それを防ぐため、公共財は国や公的機関によって供給されることが多くなっています。また、共有資源は、市場に任せると過剰消費されてしまう共有地の悲劇が起こる場合があります。共有地の悲劇への対策としては、有償の許可や課税などの⽅法があります。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:その通りです。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢オ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢エとなります。
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