【過去問解説(経済学・経済政策)】R4 第6問 45度線分析、インフレ・デフレギャップ

今日は、経済学・経済政策のR4第6問について解説します。

 経済学・経済政策 R4 第6問

下図は、45 度線図である。この図において、総需要は AD = C + I + G(ただし、AD は総需要、C は消費支出、I は投資支出、G は政府支出)、消費関数はC = C0 + cY(ただし、C0 は基礎消費、c は限界消費性向(0 < c <1)、Y は GDP)によって表されるとする。図中における YF は完全雇用 GDP、Y0 は現実の GDP である。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問 1 )
この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a 総需要線 AD の傾きは、c に等しい。
b 投資支出 1 単位の増加による GDP の増加は、政府支出 1 単位の増加によるGDP の増加より大きい。
c 総需要線 AD の縦軸の切片の大きさは、C0である。

〔解答群〕
ア a:正  b:正  c:誤
イ a:正  b:誤  c:正
ウ a:正  b:誤  c:誤
エ a:誤  b:正  c:誤
オ a:誤  b:誤  c:正

 

(設問 2 )
GDP の決定に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア ADF – AD0 の大きさだけの政府支出の増加によって、完全雇用 GDP を実現できる。
イ ADF – AD1 の大きさだけの政府支出の増加によって、完全雇用 GDP を実現できる。
ウ ADF – AD2 の大きさだけの政府支出の増加によって、完全雇用 GDP を実現できる。
エ AD0 – AD1 の大きさだけの政府支出の増加によって、完全雇用 GDP を実現できる。
オ AD0 – AD2 の大きさだけの政府支出の増加によって、完全雇用 GDP を実現できる。

解説

設問1は、45度線分析に関する問題です。
45度線分析については、まとめシートで以下の通り解説しています。

この図におけるYDは総需要であり、本問におけるADと同じです。また、本問では租税Tは考慮されていません。

それでは選択肢をみていきましょう。

記述a:その通りです。総需要「AD=C+I+G」の式に消費関数を代入すると「AD=C0CY+I+G」となり、ADの傾きはcに等しいことがわかります。
よって、この記述は〇です。

記述b:誤りです。投資支出1単位の増加によるGDPの増加は、投資乗数で示され、「1/(1-c)」です。また、政府支出1単位の増加によるGDPの増加は、政府支出乗数で示され、「1/(1-c)」です。両者は同じになります。
よって、この記述は×です。

記述c:誤りです。記述aの解説のとおり、「AD=C0CY+I+G」であり、総需要線ADの縦軸の切片の大きさは「C0+I+G」です。
よって、この記述は×です。

以上から、正解は選択肢ウとなります。

 

設問2は、インフレギャップ・デフレギャップに関する問題です。
インフレギャップ・デフレギャップについては、まとめシートで以下の通り解説しています。

本問は、完全雇用GDP(理想)が右側で均衡国民所得が左側なので、デフレギャップが生じている状態といえます。

上記のデフレギャップのグラフのように、Y0を通る現実の需要を表す需要線を引くと、以下のオレンジの線になります。

AD0-AD1の大きさだけの政府支出をすることによって、オレンジの線は総需要線ADまでシフトし、ギャップが解消されることがわかります。

以上から、正解は選択肢エとなります。

 

 

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