今日は、経済学・経済政策のR4第15問について解説します。
利潤最大化を達成するための最適生産について考えるためには、総収入と総費用の関係を見ることが重要である。下図には、総収入曲線 TR と総費用曲線 TC が描かれている。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。
(設問 1 )
費用関数に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a 総費用曲線 TC の縦軸の切片は、固定費用に等しい。
b 平均費用が最小値を迎えるところでは、限界費用と平均費用が一致する。
c 生産量の増加に比例して、平均費用も増加していく。
〔解答群〕
ア a:正 b:正 c:正
イ a:正 b:正 c:誤
ウ a:正 b:誤 c:誤
エ a:誤 b:正 c:正
オ a:誤 b:誤 c:正
(設問 2 )
利潤に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a Q1 の生産量では、価格が限界費用を上回っており、生産を増やせば利潤が増加する。
b Q0 の生産量では、総収入曲線の傾きと、総費用曲線の接線の傾きが等しくなっており、利潤最大化と最適生産が実現している。
c Q2 の生産量では、限界費用が価格を上回っており、生産を減らせば利潤が
増加する。
〔解答群〕
ア a:正 b:正 c:正
イ a:正 b:正 c:誤
ウ a:正 b:誤 c:正
エ a:誤 b:正 c:正
オ a:誤 b:正 c:誤
解説
費用関数に関する問題です。
費用関数については、まとめシートで以下の通り解説しています。
それでは(設問1)の選択肢をみていきましょう。
選択肢a:その通りです。総費用曲線の縦軸の切片は、収入にかかわらず発生する費用であり、固定費用を表します。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢b:その通りです。上記まとめシートの下の図の通り、限界費用曲線(MC(X))は、平均費用曲線(AC(X))の最小点を通ります。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢c:誤りです。平均費用は、総費用を生産量で割ったものです。総費用曲線TCがS字曲線であることから、生産量の増加に比例していないことがわかります。なお、平均費用曲線は上記まとめシートの下の図のAC(X)であり、最初は生産量が増加に伴って減少し、途中から生産量の増加に伴って増加します。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢イとなります。
次に(設問2)の選択肢をみていきましょう。
本問では、限界費用はその時点での総費用曲線TCの接線の傾きであることを踏まえて考えます。
選択肢a:その通りです。Q1の生産量のときの総収入曲線TRの傾きは、総費用曲線TCの接線の傾きよりも急であることから、「価格>限界費用」であることがわかります。したがって、生産量を1増やしたときの収入の増加が費用の増加よりも大きいため、生産を増やせば利潤が増加します。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢b:その通りです。Q0の生産量のときの総収入曲線TRの傾きと総費用曲線TCの接線の傾きが等しいということから、「価格=限界費用」であることがわかります。また、企業は「価格=限界費用」となる生産量を生産するとき、利潤が最大化します。したがって、Q0の生産量では「価格=限界費用」となっており、利潤最大化と最適生産が実現しているといえます。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢c:その通りです。Q2の生産量のときの総収入曲線TRの傾きは、総費用曲線TCの接線の傾きよりも緩やかであることから、「価格<限界費用」であることがわかります。したがって、生産量を1減らしたときの収入の減少が費用の減少よりも小さいため、生産を減らせば利潤が増加します。
よって、この選択肢は〇です。
なお、まとめシートには利潤のグラフが下記のように示されています。
利潤が最大になる凸の頂点の部分が「価格=限界費用」となる生産量ですから、頂点よりも生産量が少ないときには生産量を増やすほど利潤が増加し、生産量が多いときには生産量を減らすほど利潤が増加するとわかります。
以上から、正解は選択肢アとなります。
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