【過去問解説(経営法務)】R1 第3問 会社法(清算)

今日は経営法務R1第3問の会社法の清算に関する問題について解説します。

経営法務R1第3問

会社法が定める会社の清算・特別清算に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 株主は、清算中の会社の残余財産が金銭以外の財産であるときは、当該会社に対し、当該残余財産に代えて金銭を交付することを請求することができる。
イ 清算中の会社の機関設計は、清算開始前の機関設計が維持されるため、指名委員会等設置会社が清算手続に入った場合、指名委員会等の各委員会が設置される。
ウ 清算中の会社は裁判所の監督に属するため、清算人は、裁判所による提出命令がなくても、株主総会で承認を得た財産目録等を裁判所に提出しなければならない。
エ 特別清算は、株式会社だけではなく、合同会社にも適用される。

 

解説

会社が解散(事業活動を停止)する場合、債権者への弁済、株主や社員への残余財産の分配・整理する手続きを清算といいます。このうち特別清算は、裁判所の命令によって開始され、裁判所の関与に基づき行われる手続をいいます。

選択肢アは、記述の通りです。清算手続きにおいて、株式会社は債権者に対して債務を弁済する必要があります。
その際、金銭分配請求権を行使した株主に対しては、残余財産に相当する価額の金銭を支払わなければなりません(会社法第505条第3項)。
よって、選択肢アが正解となります。

念のため、他の選択肢も確認しておきましょう。

選択肢イは、清算会社の機関設計に関する説明です。清算手続きに入ると、清算の目的に合わせた機関設計がなされます。一例として、清算人の設置(会社法第477条)、清算人会、監査役、監査役会の設置が挙げられます(会社法第477条第2項)。したがって、清算開始前の機関設計は維持されません。

選択肢ウは財産目録に関する説明です。清算手続きにおいては、財産目録と貸借対照表を作成をしなければなりません(会社法第492条・494条)。そして、会社法第493条で「裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、財産目録等の全部又は一部の提出を命ずることができる。」と定められております。
よって、提出命令が無ければ提出する必要は無く、この選択肢は誤りです。

選択肢エについて、特別清算は株式会社のみが対象であり、持分会社には適用されません。

以上より、選択肢アが正解となります。

 

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