今日は経営法務のH26第3問について解説します。
A 氏は、X 株式会社(以下「X 社」という。)に対し B 氏を X 社の取締役に選任する議案を株主総会に提出したい。
これに関する記述として最も適切なものはどれか。
ただし、X 社は取締役会設置会社であり、A 氏の所有株式数は 10 株で、X 社の議決権のある株式数は 2,000 株である。
また、当該議案と実質的に同一の議案は、過去3年間上程されていないものとする。
ア A 氏は B 氏を取締役とする議案の要領を株主総会の招集通知に記載することを請求することはできないが、取締役選任の議題があれば株主総会において B氏を取締役とする議案を提出することができる。
イ A 氏はいかなる場合も B 氏を取締役とする議案を株主総会に提出することはできない。
ウ A 氏はいつでも B 氏を取締役とする議案の要領を株主総会の招集通知に記載することを請求でき、かつ、株主総会において B 氏を取締役とする議案を提出することができる。
エ A 氏は株主総会の8週間前までであれば、B 氏を取締役とする議案の要領を株主総会の招集通知に記載することを請求できるが、株主総会において B 氏を取締役とする議案を提出することができない。
解説
株主提案権に関する問題です。
株主提案権には以下の3種類があります。
①議題提案権:株主総会のテーマである議題を提⽰する権利
②議案提案権:株主総会のテーマである議題に対する具体的提案である議案を提⽰する権利
③議案通知請求権:株主が提出しようとする議案をあらかじめ招集通知などで他の株主に通知することを請求できる権利
①-③のうち、②は1株でも保有していれば権利行使できる「単独株主権」、①と③は一定割合or一定数以上の株式保有で権利行使が可能な「少数株主権」に該当します。保有条件は、株式の保有条件は1% or 議決権300個以上です。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:前半が③議案通知請求権、後半が②の議案提案権の説明です。議案通知請求権については、保有条件が未達のため権利行使不可ですが、後半の議案提案権については単独株主権ですので、A社は権利行使可能です。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢イ:②の議案提案権に関する説明です。取締役選任の議題があれば具体的な議案を提出することが可能ですので、「いかなる場合でも」というのは不適切です。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:前半は③議案通知請求権についてですが、選択肢アで説明の通りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:前半は③議案通知請求権に関するものですが、A氏はこの権利を持ち合わせていません。後半の「株主総会において B 氏を取締役とする議案を提出することができない」という部分については、②議案提案権に関するもので、取締役選任の議題があれば具体的な議案を提出することが可能です。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢アとなります。
◆ブログ村参加しています◆
気に入っていただけたら、クリックお願いします!
2022年度版まとめシート
好評発売中!