今日は情報のH29第20問について解説します。
システム化の構想や計画、あるいはIT 投資評価などを行う際に必要となる概念やフレームワークなどに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア EA(Enterprise Architecture)とは、組織全体の意思決定の階層を、戦略的計画、マネジメントコントロール、オペレーショナルコントロールの3つに分けて、システム化の構想をするものである。
イ IT ポートフォリオとは、リスクやベネフィットを考慮しながらIT 投資の対象を特性に応じて分類し、資源配分の最適化を図ろうとするものである。
ウ SLA(Service Level Agreement)とは、IT サービスを提供する事業者とIT サービスを利用する企業間の契約で、ITサービスを提供する事業者が知り得た経営上あるいは業務上の知識や情報の秘密を漏えいしないための秘密保持契約をいう。
エ WBS(Work Breakdown Structure)とは、現行の業務フロー分析を行い、システム化の範囲を定めるために用いる手法である。
解説
システム化の構想や計画、IT投資評価を行う際に必要となる概念とフレームワークに関する問題です。
それでは早速、各選択肢を見ていきましょう。
選択肢ア:EA(Enterprise Architecture)は、経営戦略とITを含めた全体最適によって、顧客ニーズをはじめとする社会環境や情報技術自体の変化に素早く対応するための構造です。EAは、以下の4つの要素によって成り立っています。
1.ビジネスアーキテクチャ(BA、業務体系)
2.データアーキテクチャ(DA、データ体系)
3.アプリケーションアーキテクチャ(AA、適用処理体系)
4.テクノロジーアーキテクチャ(TA、技術体系)
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:ITポートフォリオは、情報システムの貢献度や活用度、リスクなどを分析し、IT投資を効率的に配分する管理・分析手法のことです。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢ウ:SLA(Service Level Agreement)とは、サービスの提供事業者とその利用者の間で結ばれる、サービスのレベル(定義、範囲、内容、達成目標等)に関するサービス品質保証のことです。通信速度や処理性能、障害やメンテナンスによる利用不能時間(ダウンタイム)などを定めます。秘密保持契約はNDA(non-disclosure agreement)と呼ばれます。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)は、プロジェクト全体を細かな作業(Work)に分解(Breakdown)した構成図(Structure)です。プロジェクトの作業を段階的に細かなタスクに分解して計画を立て、実績管理する際に用いられます。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢イとなります。