今日は企業経営理論のR3第12問について解説します。
ソフトウェアやコンテンツなどの情報財には、独自の特性があるとされる。その特性やそこから派生する状況として、どのようなことが想定できるか。最も適切なものを選べ。
ア インターネットの普及によって情報財の流通コストは低下しているために、情報財をその一部でも無償で提供すると、広告収入以外で収入を獲得することは不可能になる。
イ 情報財では、幅広いユーザーが利用するという特性から、スイッチングコストを生み出して顧客を囲い込む方策は、例外的な状況を除いて有効ではない。
ウ 情報財では、複製にかかるコストが相対的に低いという特性から、個々の顧客が持つ価値に応じて価格差別を行うことは困難である。
エ 情報財において、ネットワーク外部性が大きい状況では、顧客数が増えるほど、その情報財の価値は顧客間で希釈化され、個々の顧客が獲得する効用は低下する。
オ 制作・開発には多額のコストがかかるが、複製にかかるコストは低いという特性を持った情報財では、コモディティ化によって製品市場で激しい価格競争が生じると、複製にかかるコストの近傍まで製品価格が下落して、制作・開発にかかったコストが回収できなくなる可能性がある。
解説
情報材に関する問題です。
さっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢の文章は長いですが、断定的な表現を含む選択肢もあるため消去法もうまく使っていきましょう。
選択肢ア:「一部でも無償で」と言っているので、例えば一部を無償でアップグレード版を有償にする等の対応で広告以外からも収入を得ることは可能です。断定表現の「不可能になる」からも消去できそうですね。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:スイッチングコストとは、他社に乗り換える際の買い替え費用や、新しい製品の使い方に慣れるまでの手間や心理的なハードルのことですが、情報材でも有効といえます。例として、情報を入力して利用するアプリの継続などが挙げられます。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:個々の顧客が持つ価値に応じて価格差別を行うことをダイナミックプライシングといいますが、情報材でも有効です。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:ネットワーク外部性とは、利用者が増えるほど利用者の利便性が向上する性質のことで、情報材では特に有効です。例としては、LINEなどが挙げられます。
よって、この選択肢は×です。
選択肢オ:その通りです。コモディティ化とは、製品が一般化し、機能や品質などで差別化ができなくなることで、しばしば価格競争に陥りやすくなります。
よって、この選択肢は〇です。
以上から、正解は選択肢オとなります。
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