今日は、企業経営理論のR5(再試)第5問について解説します。
「業界の構造分析」の枠組みに基づいて考えられる、売り手X業界とその顧客であるY業界との間での交渉力に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア X業界が供給する製品をY業界の企業が他社の競合製品に切り替える際に、その製品の使用方法を初めから学び直す必要がある場合には、その必要がない場合と比べて、X業界に対するY業界の交渉力は高い。
イ X業界の企業が供給する製品と同業他社の競合製品との間での互換性が高い場合には、互換性が低い場合と比べて、X業界に対するY業界の交渉力は低い。
ウ Y業界の企業がX業界へ後方統合できる場合には、後方統合が不可能な場合と比べて、Y業界に対するX業界の交渉力は高い。
エ Y業界の企業にとってX業界の製品の強力な代替品が存在する場合には、代替品が存在しない場合と比べて、Y業界に対するX業界の交渉力は高い。
オ Y業界のハーフィンダール指数がゼロに近づくほど、X業界に対するY業界の交渉力は低くなる。
解説
競争戦略に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
ファイブフォース(5F)分析の要素である、売り手の交渉力・買い手の交渉力に着目して各選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。
競合製品に切り替える際、その使用方法を初めから学び直す必要がある場合はスイッチングコストが高い状態であり。売り手であるX業界の交渉力が高まります。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:誤りです。
供給する製品と競合製品との間での互換性が高い場合は、差別化が出来ていない状態であり、買い手であるY業界の交渉力が高まります。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:誤りです。
後方統合とは、サプライチェーンの川上に向かって行う統合のことです。後方統合ができる場合、買い手(統合する側)Y業界に対する売り手(統合される側)X業界の交渉力は低くなります。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:誤りです。
強力な代替品が存在する場合、Y業界にとってX業界の製品である必要性が低くなるため、売り手であるX業界の交渉力は低くなります。
よって、この選択肢は×です。
選択肢オ:その通りです。
ハーフィンダール指数(ハーフィンダール・ハシューマン指数)は企業の集中度を表す指数です。⼩数の企業が市場を占有している、独占度の⾼い状態では値は⾼くなり、多くの企業がひしめいている状態では値は低くなります。
買い手であるY業界のハーフィンダール指数がゼロに近づくということは、売り手であるX業界にとって顧客となり得る相手が増えるということであり、X業界に対するY業界の交渉力は低くなります。
よって、この選択肢は〇です。
以上から、正解は選択肢オとなります。
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