今日は、企業経営理論 R5(再試)第17問 について解説します。
企業の長期的成長のためには、既存事業の深化(exploitation)と新規事業の探索(exploration)のバランスを取る経営が重要だといわれている。C. A. オライリーとM. L. タッシュマンは、深化と探索を両立する両利き(ambidexterity)の経営を提唱
している。
両利きの経営を実践するための組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットとの間のシナジー(相乗効果)を生み出すためには、新規事業探索ユニットを別会社化してスピンオフすることが必要である。
イ 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離しても、既存事業ユニットが資源配分の意思決定について新規事業探索ユニットに介入できるような仕組みを採用することが推奨される。
ウ 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離しても、公平性の確保のために人材の採用やインセンティブ付与については同じ意思決定ルールや社内手続きを適用すべきである。
エ 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離するとともに、全社的な統合を促進する包括的ビジョンを掲げることが望ましい。
オ 新規事業探索ユニットと既存事業ユニットとの間のシナジー(相乗効果)は、新規事業探索ユニットが既存事業ユニットの技術や知識などを活用できることからのみ生じる。
解説
両利きの経営に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
両利きの経営とは、新たな事業機会の発掘である探索と、既存事業の深堀である深化をバランスよく⾏うべきという考え⽅です。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。新規事業が独⾃の組織運営を⾏えるよう、既存の深化型事業から⼗分な距離を置くことは必要ですが、別会社化してスピンオフすることまでは必ずしも必要ではありません。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:誤りです。新規事業が独⾃の組織運営を⾏えるよう、既存の深化型事業から⼗分な距離を置くことが必要ですので、新規事業探索ユニットに介入できるような仕組みを採用すべきでありません。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:誤りです。人材の採用やインセンティブ付与については、事業特性が異なるため、公平性の観点から一概に同じルールを適用することが望ましいとは言えません。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:その通りです。既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離した上で、新規事業と既存の深化型事業にまたがる共通のビジョン、価値観、⽂化を醸成する必要があります。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢オ:誤りです。ユニット間のシナジー(相乗効果)は、どちらか一方向ではなく、新規事業探索⇔既存事業ユニット双方の間で起こります。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢エとなります。
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