今日は、企業経営理論 R5 第19問について解説します。
集団の中にいる人間の意思決定や行動は集団から影響を受ける。集団の機能と集団内の人間行動に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 「凝集性」が高い集団では、集団内の規範と組織全体の業績目標とが一致するため、集団内の個人の生産性が高まりやすい。
イ 「グループシフト」とは、集団のメンバーが個人として当初有していた極端な態度や意見が、集団で討議した結果、より中立的な方向に収束する現象を指す。
ウ 「集団圧力」を受けやすい状況下でも、正しい答えが明白な課題に取り組む場合は、個人が多数派の意見に同調して誤った答えを選択することはない。
エ 全体の和を重んじる集団では、意思決定に際して多数派の意見だけではなく少数派からの異論も奨励する「グループシンク」が促進されやすい。
オ 人が集団の中で働くときに単独で働くときほど努力しない「社会的手抜き」という現象は、個人の貢献と集団の成果との関係が曖昧な場合に生じやすい。
解説
組織構造論 に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
職場集団の⾏動様式:集団の凝集性とは、集団がメンバーを引きつけて集団の⼀員となるよう動機付けする度合いのことです。集団の凝集性が⾼いほど結束⼒が⾼くなりますが、意思決定を⾏う際、少数意⾒を持つ⼈に暗黙のうちに多数派の意⾒に合わせることを強制する同調圧⼒も⾼まりがちになります。帰属集団の威信が⾼い場合やその集団以外に他に帰属する集団(代替的選択肢)がない場合、集団への⽬標の⼀体化の度合いが⾼くなり、集団の⽬標を⾃分の⽬標として認識しやすくなります。集団での意思決定の⽅が短絡的になる傾向のことを集団思考(グループシンク)といいます。集団思考は集団浅慮とも⾔い、集団の凝集性が⾼い場合やライバルが存在する場合に発⽣しやすくなります。集団思考の兆候としては、⾃分たちの集団の能⼒の過⼤評価や、⾃分たちが正しいのは当然という独⾃の道徳観、同調圧⼒などが挙げられます。集団思考への対策としては、あえて議論に批判する役割を作ったり、外部からの意⾒を積極的に取り⼊れるようにするといった⽅法があります。ちなみに、集団思考が進み、集団で意思決定を⾏ったときの⽅が 1 ⼈で意思決定するときよりも極端な判断をしてしまうことをグループシフトといいます。なかでも、よりリスクの⾼い判断をしてしまうことをリスキーシフトといい、反対に、より保守的な判断をしてしまうことをコーシャスシフトといいます。 コンフリクトとは、組織の中で相反する意⾒が⽣じることで起きる対⽴や軋轢、衝突などのことです。コンフリクトは、組織の内部で分配される経営資源の配分に差がある場合や、各組織が権⼒を求める場合、組織が相互依存関係にある場合、組織が扱うタスクに不確実性がある場合、組織間でパワーが拮抗している場合に発⽣しやすくなります。コンフリクトの解決のためには競争や和解、回避、妥協、協⼒といったような⽅法をとる必要があります。また、コンフリクトにはお互いに競争することで意識が⾼まったり、和解や協⼒の過程で相⼿をより深く理解できたりといったプラス⾯もあります。そのため、コンフリクトを戦略的に活⽤して組織の活性化に役⽴てるという⼿段が取られる場合もあります。
上記の知識を思い出して、各選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢オ:その通りです。
よって、この選択肢は〇です。
以上から、正解は選択肢オとなります。
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