【過去問解説(企業経営理論)】R4 第1問 多角化

今日は、企業経営理論のR4 第1問 について解説します。

 企業経営理論 R4 第1問

企業の多角化に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア C.マルキデスによると、第二次世界大戦後の米国企業では、多角化の程度が一貫して上昇しているとされる。
イ R.ルメルトや吉原英樹らの研究によると、多角化の程度が高くなるほど、全社的な収益性(利益率)が上昇する関係があるとされる。
ウ R.ルメルトや吉原英樹らの研究によると、多角化の程度が高くなるほど、全社的な成長性が低下する関係があるとされる。
エ 伊丹敬之によると、 1 つの企業で複数の事業を営むことで生じる「合成の効果」には、相補効果と(狭義の)相乗効果の 2 種類があるとされる。そのうち、物理的な経営資源の利用効率を高めるものは、(狭義の)相乗効果と呼ばれる。
オ 関連多角化を集約型(constrained)と拡散型(linked)に分類した場合、R.ルメルトの研究によると、拡散型より集約型の方が全社的な収益性(利益率)が高い傾向にあるとされる。

解説

多角化に関する問題です。
多角化については、まとめシートで以下の通り解説しています。

それでは選択肢をみていきましょう。

選択肢ア:誤りです。「一貫して上昇している」わけではありません。こちらは内容が専門的ですので、正誤判断がしづらいですが、このように言い切っている場合は誤っている場合も多いので、一旦パスして先に進んでみても良さそうです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢イ:誤りです。こちらも判断が難しいですが、多角化では複数の事業で経営資源を活用するためシナジー効果は高まりますが、多角化が進むと、無関連多角化に近づいていくため、経営資源が分散し収益性が低下する可能性が高まります。
よって、この選択肢は×です。

選択肢ウ:誤りです。選択肢イで説明した通り、多角化の程度は高すぎず低すぎず既存事業同士のシナジー効果が高められるポイントで最も収益性が高まると考えられます。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:誤りです。物理的な経営資源の利用効率を高めるものは、相補効果です。相乗効果は、シナジーとも呼ばれ、経営資源の多重利用により単体よりも大きな効果が働き、1+1=2 ではなく、2 以上の効果が得られることです。特に、物質的経営資源と比較して情報的経営資源には物理的な制約がありませんので、情報的経営資源を多重利用した場合、シナジーの効果は大きくなります。相補効果は、コンプリメント効果とも呼ばれ、物質的な未利用経営資源を有効活用することで、確実に1+1=2 とする効果です。
よって、この選択肢は×です。

選択肢オ:その通りです。関連多角化には網の目のように各事業が関連し合う集約型と、ある分野A に進出したらA に関連した経営資源を利用して次の分野B に進出し、B に関連した経営資源を利用して次の分野C に進出するといった拡散型があり、一般的に拡散型より集約型の方が全社的な収益性が高い傾向にあると言われています。
よって、この選択肢は〇です。

以上から、正解は選択肢オとなります。

 

 

◆ブログ村参加しています◆
気に入っていただけたら、クリックお願いします!
にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ

2次試験対策もまとめシートで!

2023年度版 一発合格まとめシート
前編 予約受付中!

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


プロフィール

中小企業診断士一次試験テキスト「一目でわかる!覚えてしまう!中小企業診断士一次試験 一発合格まとめシート」著者によるブログです。
「まとめシート」の知識を使った過去問解説や、「まとめシート」に関する情報を発信していきます。

◆ブログ村参加しています◆
気に入っていただけたら、クリックお願いします!
にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ