今日は企業経営理論R1第4問について解説します。
R1 企業経営理論 第4問
G.ハメルとC.K.プラハラードによるコア・コンピタンスに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア コア・コンピタンスは、企業内部で育成していくものであるため、コア・コンピタンスを構成するスキルや技術を使った製品やサービス間で競争が行われるものの、コア・コンピタンスの構成要素であるスキルや技術を獲得するプロセスで企業間の競争が起きることはない。
イ コア・コンピタンスは、企業の未来を切り拓くものであり、所有するスキルや技術が現在の製品やサービスの競争力を支えていることに加えて、そのスキルや技術は将来の新製品や新サービスの開発につながるようなものであることが必要である。
ウ コア・コンピタンスは、顧客が認知する価値を高めるスキルや技術の集合体であるから、その価値をもたらす個々のスキルや技術を顧客も理解していることが必要である。
エ コア・コンピタンスは、他の競争優位の源泉となり得る生産設備や特許権のような会計用語上の「資産」ではないので、貸借対照表上に表れることはなく、コア・コンピタンスの価値が減少することもない。
オ コア・コンピタンスは、ユニークな競争能力であり、個々のスキルや技術を束ねたものであるから、束ねられたスキルや技術を独占的に所有していることに加えて、競合会社の模倣を避けるために個々のスキルや技術も独占的に所有していることが必要である。
解説
コア・コンピタンスについて問われています。
コア・コンピタンスとは、まとめシートでも解説しましたが、企業の中核的な能力のことで、顧客に利益をもたらし、競合に真似されにくく、複数の商品や市場に展開できるような自社の能力のことをいいます。
これを踏まえて各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、「コア・コンピタンスの構成要素であるスキルや技術を獲得するプロセスで企業間の競争が起きることはない」とありますが、そんなことはなく、スキルや技術を獲得するプロセスでも企業間の競争は起き得ます。
選択肢イは、その通りで特に問題はなさそうです。
念のため残りの選択肢も見ていきましょう。
選択肢ウは、「その価値をもたらす個々のスキルや技術を顧客も理解していることが必要である」とありますが、顧客は利益がもたらされれば良く、個々のスキルや技術を理解している必要はありません。
よってこの選択肢は×です。
選択肢エは、「コア・コンピタンスの価値が減少することもない」とありますが、そんなことはなく、例えば代替品の出現などでコア・コンピタンスの価値が減少してしまう場合があります。よってこの選択肢は×です。
選択肢オは、「束ねられたスキルや技術を独占的に所有していることに加えて、競合会社の模倣を避けるために個々のスキルや技術も独占的に所有していることが必要である。」とありますが、必ずしも独占的に所有していることが必要なわけではありません。よってこの選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢イとなります。
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