今日は、企業経営理論 R1 第23問 について解説します。
労働安全衛生法に定められた長時間労働に対する医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
なお、本問中、事業者は中小事業主とし、労働基準法第 41 条に規定された管理監督者等の「適用除外者」及び同法第 41 条の 2 に規定されたいわゆる高度プロフェッショナル制度の「対象労働者」については考慮に入れないものとする。
ア 医師による面接指導に係る事業者の義務は、産業医を選定する義務のない、常時 50 人未満の労働者を使用する事業場においても適用される。
イ 事業者は、医師による面接指導の結果に基づき、当該労働者の疲労の蓄積の状況等の厚生労働省令に定められた事項及び医師の意見を記載した当該面接指導の結果の記録を作成して、これを所定期間保存しなければならない。
ウ 事業者は、医師による面接指導を実施するため、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。
エ 事業者は、その使用する労働者について、週 40 時間を超えて労働させた時間が 1 月当たり 45 時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者であって、当該労働者が申し出た場合、医師による面接指導を行わなければならない。
解説
労働安全衛⽣法に関する問題です。
労働安全衛⽣法については、まとめシートで以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
今回は最も不適切なものを選ぶ問題です。
選択肢ア:その通りです。事業主は労働者の健康の維持のため、労働者に健康診断を受けさせる義務や、ストレスチェック(50 人未満の事業所は努力義務)を実施する義務、受動喫煙を防止する努力義務を負っています。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢イ:その通りです。事業主は、医師による面接指導の結果労働時間の状況の記録を作成し、三年間保存するための必要な措置を講じなければならないとされています。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢ウ:その通りです。労働者の労働時間の状況を把握はタイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする、とされています。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢エ:誤りです。時間外労働が月80 時間(選択肢の45が×)超で、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者から申し出があった場合は、
医師(産業医でなくてもOK)の面接指導を受けさせる必要があります。
よって、この選択肢は×です。
以上から、不適切な選択肢を選ぶ問題ですので
正解は選択肢エとなります。
なお、本問の選択肢ア~ウはかなりマニアックな論点ですので、選択肢エの「時間外労働が月80 時間」を覚えておいて選択肢エが誤りと判断できればよいでしょう。
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