今日は企業経営理論R1第21問について解説します。
多くの日本企業で利用されてきた職能資格制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 社内等級ごとに求められる職務遂行能力の定義や、その定義に基づいた実際の能力評価は、社外で普及しているさまざまな職業資格の体系に準拠して行われる。
イ 従業員の職務遂行能力の上昇が認められれば、たとえそれに見合う上位階層のポストや職務が社内で用意できなくても、社内等級は上げることができる。ウ 職種ごとに職務遂行能力の定義が行われているため、従業員の職種をまたぐ異動、ひいてはゼネラリスト育成には適さない。
エ 職務遂行能力は職務の経験年数に応じて上昇するため、職能資格制度は年功主義的な人事管理の基盤となる。
解説
職能資格制度とは、従業員の職務遂行能力(仕事の難しさ、責任度合い)を基に人事処遇を決定する仕組みです。
一方で職務等級制度という仕組みがありますが、こちらは従業員が行う仕事(職務;ポジション)に基づき人事処遇を決定する仕組みを言います。
この両者の違いを押さえながら、選択肢を確認してみましょう。
選択肢アは、職能資格制度は、会社の中で定められた職能資格の定義に基づき運用されるため「社外で普及しているさまざまな職業資格の体系準拠」という点が誤りです。
選択肢イは、記述の通り正しいです。職能資格制度はポスト(職位)や職務(ポジション)が、職能資格と必ずしも一致する必要がありません。
選択肢ウは、「従業員の職種をまたぐ異動、ひいてはゼネラリスト育成には適さない。」という点が誤りです。むしろ、職務(仕事)内容に関係なく、仕事の難しさ、責任度合いに基づき職能資格を決定するため、職種をまたぐ異動を伴う事業には向いている制度と言えます。
選択肢エは、年功序列制の説明で誤りです。
以上から、正解は選択肢イとなります。