今日は企業経営理論R1第2問のPPMに関する問題について解説します。
R1 企業経営理論 第2問
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントでは、自社の事業の成長率と相対的な市場シェアとを基準として事業を分類し、戦略事業単位が他の戦略事業単位と製品や市場について相互に関連した統合的な戦略を持つ。
イ プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントでは、成長市場で市場シェアを維持するために必要な再投資を大きく上回るキャッシュフローをもたらし、資金の投入によって競争優位を維持する「花形」よりも、資金の流出を削減して競争優位を獲得できる「問題児」の選択が重要である。
ウ プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントでは、「花形」は分野の将来性に大きな魅力があり、特定の事業に対する集中的な投資の主要な資金供給源としても重要であり、「負け犬」からの撤退を支える役割を果たす。
エ プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントは、事業間のマーケティングや技術に関するシナジーが考慮されていないが、外部技術の導入によって規模の経済を達成することで優位性を構築する事業にも適用できる。
オ プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントは、全社的な資源配分の論理の1 つとして位置づけられ、成長率の鈍化した業界の「花形」事業の大きな余剰資金と「負け犬」を売却して得た資金を「金のなる木」に集中的に投入して競争優位を維持する。
解説
PPMに関する問題です。
PPMについては平成26年の2次試験(事例Ⅱ)で知識が問われる問題が出題されました。
PPMについて再び同じような問題が出題される可能性は高くないと考えられますが、平成26年のように、1次試験の知識が直接的に問われる場合もあるため、2次試験対策にも1次試験の知識は重要となります。
それでは早速各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アには、「相互に関連した統合的な戦略を持つ」とありますが、PPMの欠点は財務資源の観点のみで戦略事業単位間のシナジーが軽視されているという点があるため、この記述は誤りです。
選択肢イの「問題児」の事業は資金の投入してシェアを拡大していく必要がある事業ですので×です。ちなみに、資金の流出を削減して競争優位を獲得できるのは「金のなる木」です。
選択肢ウの「花形」はまだまだ資金の投入が必要であり、「負け犬」からの撤退を支える役割を果たすという記載は誤りです。キャッシュを稼ぐ役割を担うのは「金のなる木」です。
選択肢エは、前半の「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントは、事業間のマーケティングや技術に関するシナジーが考慮されていないが、」の部分はその通りで問題はありません。後半の「外部技術の導入によって規模の経済を達成することで優位性を構築する事業にも適用できる。」については、PPMは基本的に自社の限られた経営資源の配分を検討するためのモデルなので、○として良いか悩ましいところです。
そのため、一旦判断を保留して残りの選択肢を見てみます。
選択肢オは、「花形」と「金のなる木」が入れ替わっているため誤りです。
「花形」と「金のなる木」を入れ替えた、
『プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントは、全社的な資源配分の論理の1 つとして位置づけられ、成長率の鈍化した業界の「金のなる木」事業の大きな余剰資金と「負け犬」を売却して得た資金を「花形」に集中的に投入して競争優位を維持する。』という記述であれば〇となります。
以上から、選択肢ア、イ、ウ、オは明らかに×だったため、判断を保留していた選択肢エが正解と考えられます。
試験ではこのように判断が悩ましい問題が時々出題されますが、その場合は明らかに×のものを削っていき、消去法的に正解を選んでいく必要があります。
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2件のフィードバック
コメント失礼します、
R1-2の エとH25-2のウの違いは何でしょうか。
H25の方は、外部からの資金調達という点において✖️であるということなのでしょうか。
確かに、この解説を書いたときはさらっと特に問題はないと書いたのですが、確かに「外部技術の導入によって規模の経済を達成することで優位性を構築する事業にも適用できる。」という表現は、ちょっと微妙な表現ですね。
PPMというのは基本的には、自社の限られた経営資源の配分を検討するためのモデルなので、外部からの資源の流入は考慮に入れられていません。
この問題の場合、他の選択肢が明らかに×であるという点と「外部資金」ではなく「外部技術」とあるため、完全には否定できないというところからこの選択肢を選ぶことになるのかと考えます。
解説も少し変更しました。
ご指摘いただき、ありがとうございます。