今日は、企業経営理論 H29 第10問 について解説します。
企業では、新製品開発や新規事業などのプロジェクトが円滑に進むように、さまざまな方法を用いて進捗管理を行っている。そのような進捗管理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 技術開発と市場開拓が並行して事業化が進行すれば、技術開発面の課題を早期に発見して、その解消活動が販売における課題解決に結びつくので、基礎研究成果を応用研究につなぐ際のダーウィンの海と呼ばれる課題の克服に有効である。
イ 技術や市場が新規の製品の開発に取り組む場合、現場で培った経験や知識の活用が開発時間やコストを節約するキーポイントになる。
ウ 新製品の事業化では、顧客や市場の評価を早期に把握して、その結果を開発活動にフィードバックして、場合によっては開発段階が後戻りすることを許容する方が新製品の迅速な立ち上げに有利に働く。
エ プロジェクトのある段階から次の段階への移行ごとにチェックポイントを設けるステージゲート管理では、移行可否の判断基準の設定や移行可否の権限が各段階に与えられないため、管理が甘くなって見込みの低いプロジェクトを温存する
ことになりやすい。
オ プロジェクトの複数の段階の活動を同時に並行して行うと、開発の早い段階からプロジェクト内で情報交換が進むが、情報の複雑性も高くなるので、開発期間が延びたり、開発コストが余計にかかりやすくなる。
解説
プロジェクトの進捗管理に関する問題です。
研究開発プロジェクトについては、まとめシートで以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。基礎研究成果を応用研究につなぐ過程は、死の谷(デスバレー)の課題の克服がカギとなります。死の谷(デスバレー)とは、費用の不足などにより事業化につなげられず開発研究段階で終了してしまうといったような、価値伝達の壁のことです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:誤りです。技術や市場が新規の製品の開発に取り組む場合、開発時間やコストを節約するキーポイントになるのは、現場で培った経験や知識ではなく、魔の川(デビルリバー)の課題の克服にあるような、研究段階のシーズから実際のニーズに結び付けられるかどうかになります。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:その通りです。少し判断に悩みそうですが、一般的に技術の研究段階から製品を開発し、事業化して、事業を成長させるために
は、複数の壁が存在するとされており、場合によっては開発段階が後戻りすることを許容する方が新製品の迅速な立ち上げに有利に働くこともあるといえます。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢エ:誤りです。ステージゲート法とは、技術開発・製品開発を事業として成功させるためのプロセスの管理方法であり、ステージ(開発活動)とゲート(テーマ評価ポイント)でテーマを絞り込んで、より採算性の高いテーマを導くことができる手法のことです。開発活動を行っていく上で、都度ゲートでその開発活動をチェックし、評価基準に満たないものをふるい落としていくため、管理は精緻におこなわれているといえます。
よって、この選択肢は×です。
選択肢オ:誤りです。製品の企画段階から設計、⽣産、販売までの過程を統合化し、同時進⾏化する開発手法のことをコンカレントエンジニアリング(CE)と呼びます。CEでは、⽣産リードタイムの短縮や製造コストの削減を図ることができます。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢ウとなります。
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