今日は、企業経営理論のH28年 第3問について解説します。
近年、自社の経営資源を活用して成長を図る内部成長とともに、外部企業の経営資源を使用する権利を獲得するライセンシングや、外部企業の持つ経営資源を取得して成長を目指していく買収が活発になっている。これらの戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 相手企業のコア・コンピタンスとなっている技術を自社に吸収し、自社の技術水準を上げていくためには、買収よりも独占的ライセンシングを活用する方が適している。
イ 既存の事業が衰退期に入っている場合、当該業界における市場支配力を高めるには、既存の経営資源を活用するための投資を増強していく内部成長よりも、競合企業を買収する方が適している。
ウ 国内で高価格な製品を製造・販売している企業が、新興国で新たに低価格製品を販売して短期間のうちに軌道に乗せるためには、現地の同業企業を買収するよりも、独自に販売ルートを開拓していく内部成長の方が適している。
エ 製品メーカーが、稀少性の高い原材料メーカーとの取引を安定化し、取引費用の削減をしていくためには、買収によって自社に取り込むよりも、ライセンシングによって関係を構築する方が適している。
解説
経営資源の獲得に関する問題です。
については、まとめシートで以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。コアコンピタンスとは、企業の中核的な能力のことで、顧客に利益をもたらし、競合に真似されにくく、複数の商品や市場に展開できるような自社の能力のことをいいます。ですので、「自社に吸収し技術水準を上げる」という狙いを鑑みると買収したほうがよりコアコンピタンスを取り込みやすいと考えられます。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:その通りです。事業買収のメリットは① 展開を希望する事業領域に短期間でスピーディーに展開できる② 自社の弱みを効率よく補強できる(時間をお金で買う効果)が挙げられます。よって、時間のかかる内部成長よりも買収が適しています。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢ウ:誤りです。これまでと異なる市場で短期間のうちに軌道に乗せるためには、選択肢イで解説の通り事業買収のメリット①のようにスピーディーな展開を取り入れる必要があります。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:誤りです。5F分析でいうところの、売り手の交渉力が高い状況となります。製品を作るために必要となる原材料などのサプライヤーに足元を見られ、高い買い物をせざるを得なくなる状況ですので、ライセンシングよりも買収の方が取引を安定化でき、コスト変動を抑えられることができます。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢イとなります。
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