今日は、企業経営理論のH27 第29問(2)について解説します。
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
[A ]に関する活動の一環である保管の目的のひとつは、需要の [B]への対応である。そのために所有される在庫量は、需要変動の大きさや注文から納品までの [C ]などに依存する。消費多様化や [D ]の短縮化も、在庫の増加に影響を与えうる要因である。企業は、こうした日々の在庫に起因するリスクをコントロールするための各種の工夫を行っている。
(設問2)
文中の下線部に示す「各種の工夫」に関連する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 情報技術の活用は、組織間の情報共有を通じた生産段階の効率化、そして在庫管理や商品補充など物流合理化に貢献しているが、取引上のペーパーレス化に対する貢献はない。
イ 製品形態と生産数量についての意思決定をできるだけ実需の発生時点まで延期し、原料・素材から迅速・柔軟な生産を行う方式は、生産段階における規模の優位性を生み出す。
ウ 投機の原理に従えば、できるだけ早い段階で製品形態や製品の在庫位置に関する意思決定を行うことで、需要の変動性によるリスクの多くを吸収することができる。
エ 流通段階では、製品の在庫位置変更のタイミングをできるだけ実需の発生時点・地点に近づける形での延期型対応が有効である。
解説
物流戦略、投機・延期の理論に関する問題です。
延期・投機の理論とは、生産や在庫のタイミングをどのようにするかについての理論です。
まとめシートでは以下の通りまとめています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。情報技術の活用は取引上のペーパーレス化にも貢献しています。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:誤りです。規模の優位性を発揮しやすいのは、見込生産型である投機の考え方に基づく生産方式です。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:誤りです。投機の原理では、見込み生産型であるため需要の変動性によるリスクの多くを吸収することは難しいです。ちなみに、前半の「できるだけ早い段階で製品形態や製品の在庫位置に関する意思決定を行う」という点は投機の説明として問題なさそうです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:その通りです。延期の理論では、生産や在庫のタイミングをできるだけ消費者に近づけるため、生産は受注生産に近い形を目指し、生産拠点はできるだけ消費の場に近い分散した拠点とします。
よって、この選択肢は〇です。
以上から、正解は選択肢エとなります。
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