今日は、企業経営理論 H26 第30問(3) について解説します。
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
消費行動の分析においては、一般的に消費者個人ではなく、家族という[A]単位、あるいは家計という [B] 単位が基本的な分析の単位として用いられる。その理由は、[C] の選択や [D] の配分において、家族人数に代表される規模的要因が大きく影響するため、個人ベースでの分析よりも家計単位での分析が適しているからである。
[D] の配分としての消費行動は、生活様式や [C] によって規定されるが、消費行動を分析する視点には、3つの代表的アプローチがある。それらは、①ライフサイクル・アプローチ、ライフスタイル・アプローチ、ならびに②ライフコース・アプローチである。いずれも、生活主体としての家族ないし個人の生活構造上の特徴に着目し、その集約的指標と消費行動とを関連付けて分析するための視点である。
(設問3)
文中の下線部②に示す「ライフコース・アプローチ」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア F さんは、アメリカ人の夫とともに英会話による学童保育施設を開業した。これは DINKS 型ライフコースを選択する家族の増加を受けてのことである。
イ ライフコース・アプローチでは、近年着目される「絆」の重視や「家族回帰」を通じた家族や友人グループの中での合意に基づいた集団的な意思決定の影響が尊重されている。
ウ ライフコースの概念では、ライフイベントごとの選択のあり方が個々の人生の道筋の多様化を生み出すとされている。これら選択の多様化によって、社会人教育や婚活(結婚活動)など新たな消費機会が生まれる。
エ ライフコースの複雑化により、年齢別労働力率曲線にみる女性の年齢階級別の就労状況は「V 字曲線」と呼ばれるようになっている。
解説
ライフコース・アプローチに関する問題です。
ライフコース・アプローチについては、まとめシートで以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。DINKs(ディンクス)とは、「Double Income(共働き)No Kids(子どもを持たない)夫婦」を示す言葉で自らの意思で子どもを持たないと決め、共働きをしている夫婦のことです。このような家庭が増えている場合、学童保育施設を開業するのは矛盾しています。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:誤りです。ライフコースアプローチとは、就職・結婚・出産といった人生のイベントでどんな選択をしたかで、辿っていくコースが変わってくるという点に着目した考え方であり、グループの中での合意に基づいた集団的な意思決定の影響が尊重されている風潮ではありません。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:その通りです。選択肢の説明は、ライフコースの概念に一致しています。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢エ:誤りです。女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合)は、結婚・出産期に当たる年代に一旦低下し育児が落ち着いた時期に再び上昇するという、いわゆるM字カーブを描くとされていますが、ライフコースの複雑化により、晩婚化や出産に伴う退職者の減少が進み、近年M字の谷の部分が浅くなってきていると言われてます。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢ウとなります。
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