今日は企業経営理論H26第18問について解説します。
企業組織はオープンシステムであり、その存続は環境からの資源獲得ができるか否かにかかっている。この資源制約は、企業組織が環境からコントロールされる可能性を意味するとともに、企業自身も自由裁量を確保するために環境を操作しようとすることを意味している。企業組織の環境操作戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 技術革新を通じて代替的な原材料などを開発することにより、既存の資源依存関係を変えることなく交渉を有利に進めることができる。
イ 経営者と労働者が将来の行動について双方が満足できるように折衝するのは、取引される財やサービスについての合意を意図する交渉戦略である。
ウ 財務的資源を必要とする企業が金融機関の代表を自社の取締役会に招くなどの結託戦略は、資源依存関係を変えることなく、環境からの脅威を小さくすることができる。
エ 市場浸透戦略を進めて、新たな顧客層を獲得することで、顧客に対する資源依存関係を変えることが可能になる。
オ 新製品に複数の製品規格が存在すると、消費者が買い控えをする可能性があるので、企業間であらかじめ業界標準を決めてしまう包摂戦略は、新規市場の成長率を高めることができる。
解説
環境操作戦略(資源依存モデル)についての問題です。
まとめシートに詳しく資源依存モデルを説明していますが、組織は外部環境に経営資源を依存しいるため、依存関係に着目して競争優位を確立するための理論です。それでは早速各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、原材料の仕入先が増えれば既存の資源依存関係も変更可能となり、交渉が有利になります。よって選択肢は×と判断できます。
選択肢イはその通りで、交渉戦略とは取引される財やサービスについて、意図双方が満足できるよう折衝して合意形成することです。よって選択肢は○と判断できます。
選択肢ウは、結託戦略とは共有の目的のために手を結ぶことであり、「金融機関の代表を自社の取締役会に招く」など組織に取り込む戦略は包摂戦略の説明です。よって選択肢は×と判断できます。
選択肢エは、 市場浸透戦略とは、既存の市場でのシェア拡大を図るものであり、新たな顧客層を獲得することは市場開拓戦略とされます。よって選択肢は×と判断できます
選択肢オは、「企業間であらかじめ業界標準を決めてしまう」のは包摂戦略はなくて結託戦略です。よって選択肢は×と判断できます
以上から、正解は選択肢イとなります。