【過去問解説(企業経営理論)】H25 第6問(1) 価値連鎖

今日は、企業経営理論 H25 第6問(1) について解説します。

 企業経営理論 H25 第6問(1)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

企業の価値連鎖の中の活動にどこまで携わるかによって、垂直統合の程度は異なる。垂直統合は、企業が経済的な取引を管理・統治する重要な方法であるが、企業によっては活用可能な管理・統治のための選択肢のひとつにすぎない。
企業が経済的な取引を管理する際に実施する統治選択(governance choice)についてはオプションを持っているのが通常である。その内容を垂直統合か非垂直統合かによって大きく2つに分けた場合、非垂直統合による管理・統治の方法は、さらに 逐次契約 (sequential contracting)、
完備契約 (complete contingent claims contracts)、スポット市場契約(spot-market contract)などに分類できる。

(設問1)
文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 企業が価値連鎖の中で携わる活動の数は一定で安定する必要があるが、価値連鎖上で高付加価値を生み出している活動は垂直統合に適している。
イ 企業が価値連鎖の中で携わる活動の数は一定で安定する必要があるが、清涼飲料水の生産者が独立したフランチャイジーだったボトラーと戦略的な提携を始めるように前方垂直統合を行う例もある。
ウ 企業が価値連鎖の中で携わる活動の数はその増減から垂直統合度は推測できないが、価値連鎖で統合されている活動に関する情報開示があれば垂直統合度のおおよその見当はつく。
エ 自社の境界外に当該事業にかかわる価値創出活動の多くを出している企業は売上高付加価値率が低く、垂直統合度は低いレベルにある。

解説

競争戦略に関する問題です。
垂直統合や企業を取り巻く競争環境を分析する5F分析については、まとめシートで以下の通り解説しています。

それでは選択肢をみていきましょう。

選択肢ア:誤りです。やや判断に迷うところで「企業が価値連鎖の中で携わる活動の数は一定で安定する必要がある」と言い切っていますが企業の成長段階などによって携わる活動の数は変動します。
よって、この選択肢は×です。

選択肢イ:誤りです。選択肢アと同様に、前半の「企業が価値連鎖の中で携わる活動の数は一定で安定する必要がある」と言い切っていますが企業の成長段階などによって携わる活動の数は変動します。
よって、この選択肢は×です。

選択肢ウ:誤りです。「企業が価値連鎖の中で携わる活動の数はその増減から垂直統合度は推測できないが」という箇所について、携わる活動の数によってある程度の垂直統合度の見当をつけることができます。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:その通りです。付加価値額の算定方法はいくつかありますが、営業利益+人件費+減価償却費で考えた場合、自社の境界外に当該事業にかかわる価値創出活動の多くを出している企業の売上高付加価値率は低くなります。また、垂直統合度も低くなります。
よって、この選択肢は〇です。

以上から、正解は選択肢エとなります。

本問は、まとめシートではレベル2に分類していますが、その中でも本試験での正答率は低い問題でした。
学習中の方は、まずレベル1の問題を完璧にし、余裕があれば本問を含めたレベル2の問題に取り組むようにしましょう。

 

 

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