【過去問解説(企業経営理論)】H25 第30問(設問1,2) プロモーション戦略

今日は企業経営理論H25第30問のプロモーション戦略の問題について解説します。

 

H25 第30問

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
T社は大手自動車メーカーのアルミ部品などを製造する中小サプライヤーである。近年、製品納入先である自動車メーカーの販売動向が様々な政治・経済・社会的要因によって相当の影響を受け、その余波が T社に及ぶことが頻繁になってきている。
そこで、T社ではこの自動車メーカーに対する販売先依存度を下げるために、主体的に市場創造を行うべく、消費財分野への参入を図っている。具体的には世界最高水準といわれるアルミ加工技術を活用した鍋、やかんや食器、さらにはアルミ製の台所棚などの製品系列を開発している。この消費財分野での①営業組織の編成はまだ準備段階にあるが、これらの製品を購入した顧客の満足度は非常に高いことが購入後のフォローアップ調査で明らかになっている。
T社は現在、強い決意で消費財部門を第二の柱として強化するための喫緊の課題として営業体制づくりを行っているが、産業財メーカーとしてはじめての消費財分野への参入であるため、②営業管理のあり方について様々な議論を行っている。
(設問1)
文中の下線部①に示す「営業」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 営業の目的は、製品・地域・取引相手のタイプといった区分で新規顧客を獲得することである。
イ 営業は、マーケティング・ミックスのプロモーション活動に固有に含まれる人的販売のことである。
ウ 企業の事業活動が国境を越えて展開されるにつれて、営業活動内容の複雑さは逓減していく。
エ 個々の営業パーソンに対する顧客の評価は、企業信頼と人格信頼の両者によって支えられている。

(設問2)
文中の下線部②について、T 社における消費財部門の営業管理のあり方に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 消費財部門では営業組織の強化はあきらめ、訪問販売を行うにとどめる。
イ 消費財部門の拡大によって組織全体としての営業人員が不足するが、固定費の増加を防止したいので、産業財部門の最も熟練した営業パーソンを消費財部門に配置転換する。
ウ 消費財部門は全く新しい分野であるため、発想の柔軟な若手営業パーソンをこの部門に配置転換し、一部インセンティブ制の報酬を固定給に上乗せ可能な制度を設ける。
エ フリーランスの営業パーソンと契約し、完全歩合制の営業管理を徹底し、販売経路の幅を広げることに注力する。

解説

比較的長めの文章を読んで回答する問題です。

この手の問題は、①下線部の用語だけ見ればいい問題と、②プチ事例のような問題で文章をしっかり読み込まないといけない問題の2種類があります。

①の場合、一生懸命文章を読んでも時間を無駄遣いするだけです。

手早く回答するためには、2次試験で与件文の前に問題文を読むのと同じように、先に問題文の方を読んで①のタイプなのか②のタイプなのか判断すると良いでしょう。

今回の場合、問題文を読んでみると、設問1は①のタイプ、設問2は②のタイプであることがわかります。

設問1も2も①のタイプであれば問題文を読まずに済みましたが、今回はきちんと読まないといけない問題のようです。

それでは各設問を見ていきましょう。

【設問1】
選択肢アは、「新規顧客を獲得する」とありますが、営業の仕事は新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の維持もありますので×と考えられます。

選択肢イは、確かに営業と人的販売は同義のように使われますが、完全に一致するものではありません。ただ、この段階では、一旦保留して他の選択肢を見てから判断する、という方針を取っても良いでしょう。

選択肢ウは、企業の事業活動が国境を越えて展開されたら複雑さはより高まるため、×と考えられます。

選択肢エは、その通りで、選択肢エが明らかに〇ですので、選択肢イはやはり×と判断することができます。

以上から、正解は選択肢エとなります。

【設問2】
選択肢アは、今後消費財部門を第二の柱として強化する意向があるため、早々に営業組織の強化を諦めてしまうというのはおかしいため×と考えられます。

選択肢イは、産業財部門と消費財部門の営業方法は異なるため、産業財部門の最も熟練した営業パーソンが必ずしも消費財部門で活躍できるとは限りません。さらに、産業材部門の営業が手薄になってしまう可能性もあります。
他の選択肢も見ないと絶対に×と言い切ることはできませんが、現段階では限りなく×に近い△としておきます。

選択肢ウは、この中では最も望ましい選択肢と考えられます。
全く新しい分野に進出する際は、発想の柔軟な従業員の方が新しい分野に対応しやすく、固定給を保証することで、将来を見据えた営業活動を促すこともできます。

選択肢エは、絶対に×と言い切ることはできませんが、選択肢ウと比較すると、外部の営業パーソンのみに任せることは、今後第二の柱としたいにもかかわらず、経験を蓄積することができないため、望ましくありません。

以上から正解は選択肢ウと判断できます。

このように、プチ事例のような問題は完全に〇とか、完全に×と言い切ることができない選択肢も入っています。
そのため、あまり厳密な〇×をつけようとするのではなく、与えられている選択肢の中で比較を行い、その中で比較的望ましいものを選ぶというスタンスで解くと良いでしょう。

 

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