今日は企業経営理論H24第18問から組織学習の問題を取り上げます。
H24 第18問
現代のように様々な分野で知識創造が行われている社会では、すべての技術的知識を自社内で開発することは困難であり、企業のイノベーションプロセスには外部からの知識が不可欠になっている。この外部の知識を評価し活用する能力は、イノベーションにとって欠かせない能力となっており、この能力は「吸収能力
(absorptive capacity)」と呼ばれている。この吸収能力について、技術的機会や知
識の占有可能性と、吸収能力や研究開発投資に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア イノベーションが速い分野では、吸収能力の必要性は高くなるため、自社の研
究開発投資を低く抑える必要がある。
イ 応用科学に関連する技術的機会の増加に比べて、基礎科学に関する技術的機会の増大は、R & Dの必要性を低くする。
ウ 吸収能力が高くなるにつれて、当該企業は中央研究所のような基礎研究を行う部門を持つ必要性が低くなるので、研究開発投資負担を削減することが可能になる。
エ 自社の基礎研究への投資は、吸収能力を高める効果を持ち、急速に進化する科学技術をイノベーションに活かすことに役立つ。
オ 知識の占有可能性が高まると、社内外への波及効果が高くなるため、基礎科学分野よりも応用科学分野の方が、吸収能力の必要性は高くなる。
それでは早速、それぞれの選択肢を見てみましょう。
選択肢アは、前半の「イノベーションが速い分野では、吸収能力の必要性は高くなるため」は正しいですが、後半の「自社の研
究開発投資を低く抑える必要がある」の部分は研究開発費を低く抑えるのではなく、高くする必要があるため×です。
選択肢イは、「R&Dの必要性を低くする」とありますが、「低くする」ではなく「高くする」なので×です。選択肢アもそうでしたが、「高い」「低い」といったワードが逆になっているという間違えの選択肢はよくあります。そのため、「高い」「低い」や「大きい」「小さい」といったワードが文章中に出てきた場合は、入れ替わっていないかチェックするようにしましょう。
選択肢ウは、基礎研究への投資は吸収能力を高めますが、吸収能力が高まったからといって基礎研究を行う部門を持つ必要性が低くなることはありません。よって、この選択肢は×です。
選択肢エは、その通りで、基礎研究への投資は吸収能力を高める効果を持ちます。
選択肢オは、吸収能力の必要性を基礎科学と応用科学で比較していますが、応用科学分野の方が吸収能力の必要性が高くなるということはありません。よって、この選択肢は×です。
以上から正解は選択肢エとなります。
Amazonベストセラー1位獲得
一目でわかる!覚えてしまう!中小企業診断士一発合格まとめシート
好評発売中
—–