【過去問解説(財務・会計)】R5 第7問 剰余金の配当と処分

今日は、財務・会計 R5 第7問 について解説します。

財務・会計 R5 第7問 

 剰余金の配当と処分に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 株式会社は、 1 事業年度につき、中間配当と期末配当の最大 2 回の配当を行うことができる。

イ 株式会社は、資本剰余金を原資とする配当を行うことはできない。

ウ 取締役会設置会社は、取締役会の決議によって中間配当を実施することができる旨を定款で定めることができる。

エ 役員賞与を支払う場合、その 10 分の 1 の額を利益準備金として積み立てなければならない。

解説

 剰余金の配当と処分 に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。

資本⾦に関連するルール

B/S の純資産の欄には、資本⾦、準備⾦、その他剰余⾦などの項⽬があります。これらはすべて⾃⼰資本ですが、債権者保護の観点などからそれぞれその取り扱いに関するルールが設けられてます。これは、債権者が知らないうちに⾃⼰資本が処分(配当などにより⾃⼰資本を外部に流出させてしまうこと)され、資本構成が変わり、債権者が不利益を被ることを防ぐためです。純資産の取り扱いに関しては、資本⾦が最も制約が強く、その次に準備⾦、⽐較的⾃由にできるのがその他剰余⾦となります。以下で純資産の取り扱いに関するルールについて 3 点紹介します。1 点⽬は出資を得たときのルールです。会社の設⽴や株式の発⾏をした際に得られた資⾦は資本⾦となります。しかし、そのうちの 2 分の 1 を超えない額については、縛りの強い資本⾦ではなく、それよりも少し縛りの緩い資本準備⾦にしても良い、と会社法で定められています。逆に⾔うと会社の設⽴や株式の発⾏で得られた資⾦のうち、半分以上は資本⾦としなければいけません。2 点⽬は配当可能な⾦額に関するルールです。純資産のうち、配当に充てても良い⾦額のことを分配可能額といいます。配当に充てても良いのは資本⾦のうち、その他資本剰余⾦とその他利益剰余⾦です。分配可能額は、会社法により以下のように定められています。

分配可能額=その他資本剰余⾦+その他利益剰余⾦−⾃⼰株式

3 点⽬は剰余⾦の配当による準備⾦への計上に関するルールです。剰余⾦から配当を⾏う場合、配当額の⼀部を準備⾦に積み⽴てることが会社法により定められています。このとき、積み⽴てなければいけない⾦額は下記の通りです。

下記の①・②のうち⼩さい⽅をその他剰余⾦から準備⾦に振り替える
① 配当額の 1/10
② 資本⾦×1/4−(資本準備⾦+利益準備⾦)

配当をその他資本剰余⾦から⾏った場合は、上記の⾦額を資本準備⾦に、その他利益剰余⾦から⾏った場合は、利益準備⾦に振り替える必要があります。

 

基本的な意味と使い方について知識を思い出した上で、選択肢をみていきましょう。

選択肢ア:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢イ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢ウ:その通りです。
よって、この選択肢は〇です。

選択肢エ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

 

以上から、正解は選択肢ウとなります。

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