今日は財務会計のH27第12問について解説します。
H27 財務・会計 第12問
A社は、株主に対する利益還元政策を行うこととした。利益還元政策として、最も不適切なものはどれか。なお、A社は十分な現金を所有しており、財務的破綻について考慮する必要はない。
ア 株式の分割
イ 記念配当の実施
ウ 自己株式の取得
エ 普通配当の増配
解説
株主に対する利益還元政策として正しくないものを選ぶ問題です。
今回は正しくないものを選ぶ問題です。
それでは各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アの株式の分割は、例えば1株を2株にするといったように、既存の株式を分けるものです。
仮に株式分割を実施して、株価1,000円の株式1株を2株に分割した場合、分割後の株式の価値は500円となり、500円×2株=1000円で、合計した株価に変化はありません。
よって、株式分割は利益還元政策とは言えません。
しかし、実際は、株式分割をすることで株式の流動性が上がり、株価が上がる場合が多いです。
ただ、このような試験問題の場合、理論的なことが問われていると考えられますので、ここは×と判断し、念のため他の選択肢もチェックしてみます。
選択肢イについて、記念配当は株主の利益になるので○です。
選択肢ウについて、自己株式の取得は、自社株買いとも呼ばれ、会社が自社の発行した株を買い戻すことです。
自社株買いをして、自社株を消却すると、発行済み株式数が減り、1株あたり利益が向上するため株主価値が向上します。
そうすると株価が値上がりし、株主の利益に繋がります。
よってこの選択肢は○と判断できます。
選択肢エについて、増配は株主の利益になるので○です。
以上から、正解は選択肢アとなります。
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