今回は、財務・会計から、平成25年の第5問の経営分析の問題について解説します。
H25 財務・会計 第5問
次に示す財務諸表に基づいて、以下の設問に答えよ(単位:千円)。
(設問1)
収益性の動向に関する説明として最も適切なものはどれか。なお、比率の計算
における総資本は年度末の金額を利用する。
ア 総資本営業利益率:悪化 売上高営業利益率:悪化 総資本回転率:改善
イ 総資本営業利益率:悪化 売上高営業利益率:改善 総資本回転率:改善
ウ 総資本営業利益率:改善 売上高営業利益率:悪化 総資本回転率:改善
エ 総資本営業利益率:改善 売上高営業利益率:改善 総資本回転率:悪化(設問2)
安全性の動向に関する説明として最も適切なものはどれか。
ア 流動比率:悪化 固定長期適合率:悪化 負債比率:改善
イ 流動比率:悪化 固定長期適合率:改善 負債比率:改善
ウ 流動比率:改善 固定長期適合率:悪化 負債比率:改善
エ 流動比率:改善 固定長期適合率:改善 負債比率:悪化
解説
経営指標が改善しているか、悪化しているかを判断する問題です。
公式を覚えていれば1つ1つの指標を計算することはそれほど難しくありませんが、3つの指標の変化が問われているため、計算量が多くなり、時間がかかってしまうため、少しでも計算時間を短くする工夫をする必要があります。
それでは早速各設問を見ていきましょう。
設問1についてです。
まずは、選択肢を見比べてみると、指標は3つあるものの、総資本営業利益率と売上高営業利益率の2つの指標の変化がわかれば正解が特定できることがわかります。
そのため、本番であれば、3つ目の総資本回転率はあえて計算せず、全ての問題を解き終わってもし時間が余ったら念のため確かめ算として計算するという作戦で行くと時間が短縮できます。
まず、総資本営業利益率の変化を見てみます。
総資本営業利益率=営業利益/総資本なので、
X1年度:30,000/130,000=3/13
X2年度:18,000/120,000=18/120=3/20
3/13>3/20なので、悪化
となります。
次に、売上高営業利益率の変化を見てみます。
売上高営業利益率=営業利益/売上高なので、分子は先ほどと同じで、
X1年度:30,000/180,000=3/18=1/6=18/108
X2年度:18,000/170,000=18/170
18/108>18/170なので、悪化
となります。
以上から正解は選択肢アとなります。
ちなみに、単に大小だけ比較すればいい場合は、上記のようにいちいち割り算をせず、分数のまま比較をすることで、計算量を減らすことができます。
なお、売上高営業利益率の変化の場合、もっとざっくりと大小を比較するのであれば、本来分子を18に揃えるのであれば上記のように18を掛ける必要がありますが、計算が手間なので、18をそれより大きい数である20と置き換えて、6×20=120として
(1×18)/(6×18)>(1×18)/(6×20)(=18/120)>18/170
として、さらに計算を楽にするという作戦もあります。
次に設問2についてです。
設問2も、選択肢を見比べてみると、設問1と同様指標は3つあるものの、流動比率と固定長期適合率の2つの指標の変化がわかれば正解が特定できることがわかります。
まず、流動比率を見てみます。
流動比率=流動資産/流動負債
なので、
X1年度:35,000/16,000=35/16=2+3/16
X2年度:29,000/15,000=29/15=1+14/15
2+3/16>1+14/15なので、悪化
となります。
このように、値の大きさを整数+分数という形にすると比較しやすい場合もあります。
次に、固定長期適合率の変化を見てみます。
固定長期適合率=固定資産/(固定負債+自己資本)
なので、
X1年度:95,000/(28,000+86,000)=95/114
X2年度:91,000/(20,000+85,000)=91/105
これは残念ながら小数に換算するしかなさそうですので、計算をしてみると
X1年度:95/114=0.833・・・
X2年度:91/105=0.866・・・
となります。
固定長期適合率は低い方が良いので、指標は悪化となります。
以上から正解は選択肢アとなります。
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