今日は経済学のR3第10問について解説します。
完全資本移動の場合のマンデル=フレミング・モデルについて考える。下図において、IS曲線は生産物市場の均衡、LM曲線は貨幣市場の均衡、BP曲線は国際収支の均衡を表す。この経済は小国であるとする。変動相場制のケースでの経済政策に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 金融緩和政策は、資本が海外から自国に流入することにより、自国通貨高を生じさせる。
b 財政拡大政策は、資本が海外から自国に流入することにより、自国通貨高を生じさせる。
c 金融緩和政策は、輸出を増加させることを通じて、自国のGDPを増加させる効果を持つ。
d 財政拡大政策は、輸出を増加させることを通じて、自国のGDPを増加させる効果を持つ。
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
解説
マクロ経済学のマンデル=フレミング・モデルに関する問題です。
それでは、早速各記述をみていきましょう。
記述aで実施する完全資本移動・変動相場制のもとでの金融緩和政策はLM曲線を右シフトさせます。その結果、国内利子率が低下し、国際利子率よりも低くなります。そのため、国内から海外に資金が流出していき、自国通貨安を生じさせます。
よって、この記述は×です。
記述bで実施する完全資本移動・変動相場制のもとでの財政拡大政策はIS曲線を右シフトさせます。その結果、国内利子率が上昇し、国際利子率よりも高くなります。そのため、海外から国内に資金が流出していき、自国通貨高を生じさせます。
よって、この記述は〇です。
記述cで実施する完全資本移動・変動相場制のもとでの金融緩和政策は記述aで示した通り、自国通貨安を生じさせます。自国通貨安、つまり円安が生じることによって、輸出が有利になり、輸出が増加します。
よって、この記述は〇です。
記述dの実施する完全資本移動・変動相場制のもとでの財政拡大政策は記述bで示した通り、自国通貨高を生じさせます。自国通貨高、つまり円高が生じることによって、輸出が不利になり、輸出が減少します。
よって、この選択肢は×です。
以上から記述bとcが正しく、正解は選択肢ウとなります。