今日は経済学H27第9問の為替レートに関する問題について解説します。
日本銀行「企業物価指数」では円ベースの輸出入物価指数が公表されている。この統計を利用するためにも、ここで為替レートの変化と物価の動きとの関係を考えてみたい。
自国を日本、外国をアメリカとして、為替レートと輸出財・輸入財価格との関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 円高にあわせて、ある輸入財の円価格が引き上げられれば、その輸入財のドル価格は一定に保たれている。
イ 円高にかかわらず、ある輸出財のドル価格を一定に保つためには、その輸出財の円価格を引き上げなくてはならない。
ウ 円安にあわせて、ある輸入財のドル価格が引き上げられれば、その輸入財の円価格は一定に保たれる。
エ 円安にかかわらず、ある輸出財の円価格が一定に保たれれば、その輸出財のドル価格は低下する。
解説
為替レートの問題は、理論を暗記できなくても、数字を用いて解けることがあります。
選択肢アは、例えば以下のような例を考えてみましょう。
1ドル 100円→90円(円高)
輸入材価格 1000円→1100円(値上げ)
この時、輸入材価格は、
1ドル=100円の時 1000円÷100円=10ドル
1ドル=90円の時 1100円÷90円=12.22ドル
以上から、ドル価格は上昇します。
よって、この選択肢は誤りです。
選択肢イも、例を検討します。
1ドル 100円→90円(円高)
輸出材価格 50ドルで一定とする
この時、輸出材の円価格は、
1ドル=100円の時 100円×50ドル=5000円
1ドル=90円の時 90円×50ドル=4500円
以上から、円価格は「引き下がり」ます。
よって、この選択肢は誤りです。
選択肢ウは選択肢アの逆のパターンを考えてみます。
1ドル 100円→110円(円安)
輸入材価格 50ドル→55ドル(値上げ)
この時、輸入材価格は、
1ドル=100円の時 50ドル×100円=5000円
1ドル=110円の時 55ドル÷110円=6050円
以上から、円価格は上昇します。
よって、この選択肢は誤りです。
以上から、消去法で選択肢エが正解ですが、内容を確認しておきましょう。
選択肢エは以下の例を検討します。
1ドル 100円→110円(円安)
輸出材価格 5000円で一定とする
この時、輸出材のドル価格は、
1ドル=100円の時 5000円÷100円=50ドル
1ドル=110円の時 5000円÷110円=45.45ドル
以上から、ドル価格は低下します。
よって、選択肢エが正解となります。