今日は、経済学 H26 第21問について解説します。
関税撤廃の経済効果を、ある小国の立場から、ある1財の市場のみに注目した部分均衡分析の枠組みで考える。下図は当該財の国内供給曲線と、当該財に対する国内需要曲線からなる。関税撤廃前には当該財の輸入に関税が課され、当該財の国内価格は P0であり、関税収入は消費者に分配されていた。関税が撤廃されると当該財の国内価格は P1 となった。関税撤廃による変化に関する記述として最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 関税収入は e だけ減少する。
イ 消費者余剰と生産者余剰の合計は b + d +e + f だけ増加する。
ウ 消費者余剰は c だけ増加する。
エ 生産者余剰は d + e + f だけ減少する。
解説
余剰分析のうち、関税の撤廃(自由貿易)に関する問題です。
まとめシートで以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
本問では「関税収入は消費者に分配されていた」という記述がありますので、こちらに注意してください。
説明のために追記した図は以下の通りです。
選択肢ア:その通りです。完全撤廃前の消費者余剰は、a+b+h+eでした。(eの関税収入部分は消費者に分配されていたため)関税撤廃後は価格がP1に下がるため、消費者余剰は通常h+a+b+c+d+e+fから、関税収入については、消費者余剰の中に含まれていて変化が無いように見えますが、消費者に分配されていた分がなくなりますので、関税収入はeの分だけ減ります。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢イ:誤りです。消費者余剰と生産者余剰の合計は社会的余剰と呼ばれ、これはd+fだけ増加します。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:誤りです。関税の撤廃によって価格がP0P1」になりますので、消費者余剰は c+d+f だけ増加します。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:誤りです。関税の撤廃によって価格がP0P1」になりますので、生産者余剰はcだけ減少します。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢アとなります。
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