今回はH26年第20問の市場の失敗についての問題を解説します。
H26 経済学 第20問
下図には、企業Rが直面する競争的な財市場における私的限界費用曲線、社会的限界費用曲線が描かれている。社会的限界費用曲線と私的限界費用曲線との乖離は、企業Rの生産活動に負の外部性が伴うことを意味する。この負の外部性の負担者は企業Sのみであり、企業Rとの交渉を費用ゼロで行うことができる。また、企業Rの生産活動に対して、政府は外部性を相殺するピグー課税を導入することもできる。この図に関する説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。
ただし、下図で、△aefを単にA、□acgfを単にB、△acdを単にC、△abdを単にDと呼称し、価格はeで所与のものとする。
[解答群]
ア コースの定理に従えば、生産量はm なる。
イ 自由放任の活動下で生産量がnのときに発生している死重損失は C + D である。
ウ ピグー課税が導入されると、企業 R の余剰は A + B になる。
エ ピグー課税が導入されると、政府の税収は B + C + D となる。
解説
それでは早速各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アのコースの定理とは、外部効果が発生しているとき、加害者、被害者のどちらかが補償金を負担した場合でも、交渉をすることで最適な資源配分が実現するというものです。
この場合の最適な資源配分とは、社会的限界費用曲線と価格の交点である、点aとなり、このときの生産量はmとなります。
よってこの選択肢は正しいと言えます。
これで解答を確定することができましたが、念のため他の選択肢も見ていきましょう。
選択肢イについて、自由放任の活動下で生産量がnのときに発生している死重損失は C + D でなく、Dとなるため×です。
選択肢ウについて、ピグー課税が導入されると企業Rの余剰は、 A + B でなくAとなるため×です。
選択肢エについて、ピグー課税が導入されると、政府の税収は B + C + D でなく、Bとなるため×です。
以上から正解は選択肢アとなります。
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