【過去問解説(経営法務)】R3 第4問 破産手続・民事再生手続

今日は経営法務のR3第4問について解説します。

R3 経営法務 第4問

破産手続及び民事再生手続に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 破産手続においては、否認権は認められているが、民事再生手続においては、否認権は一切認められていない。
イ 破産手続においては、別除権が認められているため、担保権者は破産手続によらずに担保権を行使することができるが、民事再生手続においては、別除権は認められていないため、担保権者は民事再生手続外で、担保権を行使することはできない。
ウ 破産手続においては、法人・自然人を問わず、破産者の破産手続開始時におけるすべての財産が破産財団となり、そのすべての財産を金銭に換価して配当に充てることとなるが、民事再生手続においては、必ずしも、民事再生手続開始時におけるすべての財産を換価するものではない。
エ 破産手続は、申立てによる他、裁判所の職権によって開始する場合もある。

解説

破産手続・民事再生手続に関する問題です。

それでは早速、各選択肢を見ていきましょう。

選択肢ア:否認権とは、破産管財人に認められている権利で、破産者が破産手続開始決定前に行った財産減少行為等の効力を否定し、配当に回す財産に取り戻すための権利です。破産手続だけでなく民事再生手続においても認められています。
よって、この選択肢は×です。

選択肢イ:別除権とは抵当権者などの担保権者が、原則として手続きに関係なく権利を行使して優先弁済を受けられる権利です。破産手続だけでなく民事再生手続においても認められています。
よって、この選択肢は×です。

選択肢ウ:破産手続開始時の財産は、債権者に配当されるための「破産財団」と、手元に残せる生活に必要な一定の財産である「自由財産」に分けられますので、すべての財産が配当に充てられるわけではありません。また、民事再生手続きでは、再生計画が債権者集会で可決されれば、再生計画に従って弁済が行われますので、すべての財産を換価するものではありません。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:破産手続きは、原則として債権者または債務者の申し立てを受けて裁判所が破産手続開始の決定を行いますが、例外的に他の倒産処理手続きが失敗した場合、私立学校法人等の公益性の高い法人が債務超過の状態にある場合、認定地縁団体が支払い不能の状態にある場合に裁判所は職権により破産手続きを開始することができます。
よって、この選択肢は〇です。

以上から、正解は選択肢エとなります。

 

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1件のフィードバック

  1. 選択肢ウの説明は間違っている可能性がありませんか。

    誤:破産手続開始時の財産は、債権者に配当されるための「破産財団」と、手元に残せる生活に必要な一定の財産である「自由財産」に分けられますので、すべての財産が配当に充てられるわけではありません。

    正:自然人の破産の場合には、破産手続開始時の財産は、債権者に配当されるための「破産財団」と、手元に残せる生活に必要な一定の財産である「自由財産」に分けられますので、すべての財産が配当に充てられるわけではありません。

    理由:法人は生活しないので自由財産を残す必要がありません。問題文の「法人・自然人を問わず」が不適切な箇所だと思います。

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