今日は、経営法務 R2 第21問設問2について解説します。
以下の会話は、株式会社Zの代表取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、「民法の一部を改正する法律」(平成 29 年法律第 44 号)により改正された民法が適用されるものとし、附則に定める経過措置は考慮しないものとする。
甲 氏:「インターネットを使ったBtoCの新しいサービスを始める予定です。そのサービスを利用してもらうに当たっては、ルールを作って、そのサービスの利用者に守ってもらいたいと考えているのですが、どのようにすればよろしいでしょうか。」
あなた:「そのルールは、定型約款に該当し得ることになります。定型約款を御社とサービス利用者との間の合意内容とするためには、サービス利用者の利益を一方的に害するような内容でないこと等を前提として、その定型取引を行うことを合意した上で、御社が【 A 】。」
甲 氏:「ありがとうございます。他に対応しなければならないことはありますか。」
あなた:「一時的な通信障害が発生した場合等を除き、【 B 】。」
甲 氏:「分かりました。途中でその定型約款の内容を変更しようと思ったときには、変更は可能なのでしょうか。」
あなた:「【 C 】。その定型約款は慎重に作成する必要がありますので、私の知り合いの弁護士を紹介しますよ。」
甲 氏:「よろしくお願いいたします。」
(設問 2 )
会話の中の空欄Cに入る記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 定型約款の中に、民法と異なる変更要件に係る特約を規定すれば、いかなる特約であっても、当該特約に従って自由に変更ができます
イ 定型約款の変更は、効力発生時期が到来するまでに周知しないと、その効力を生じないことがあります
ウ 定型約款の変更をするときは、効力発生時期を定め、かつ、変更する旨及び変更後の内容並びにその効力発生時期を周知しなければなりません
エ 変更がサービス利用者の一般の利益に適合するときは、個別にサービス利用者と合意をすることなく、契約の内容を変更することができます
解説
定型約款に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。 定型取引を行うことを合意する前に相手から請求があった場合は、その取引の定型約款の内容を示さないと定型約款は契約内容になりません。また、定型約款はそれを契約内容とするという表示があれば、合意したとみなされますが、相手方の利益を一方的に害するようなひどい約款は無効となります。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:その通りです。民法第548条の4「定型約款の変更」第3項では、「定型約款の変更は、前項の効力発生時期が到来するまでに同項の規定による周知をしなければ、その効力を生じない。」と規定されています。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢ウ:その通りです。民法第548条の4「定型約款の変更」第2項では、「定型約款準備者は、前項の規定による定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。」と規定されています。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢エ:その通りです。民法第548条の4「定型約款の変更」第1項では、「定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。
1号 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
2号 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。」と規定されています。
よって、この選択肢は〇です。
以上から、正解は選択肢アなります。
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