今日は情報のH30第19問について解説します。
情報システムを構築する上で、対象業務の最適化のみならず、企業全体にわたる業務とシステムの最適化を図ることが重要とされている。そのための手法として、エンタープライズアーキテクチャ(EA)が提唱されている。
EAのビジネスアーキテクチャに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 各業務において利用されるデータの内容やデータ間の関連性を体系化するもので、その結果、E-R図などが作成される。
イ 共通化・合理化などを行った実現すべき業務の姿を体系化するもので、その結果、機能構成図や業務フローなどが作成される。
ウ 業務処理に最適な情報システムの形態を体系化するもので、その結果、情報システム関連図などが作成される。
エ システムを構築する際に利用するもろもろの技術的構成要素を体系化するもので、その結果、ネットワーク構成図などが作成される。
解説
エンタープライズアーキテクチャ(EA)に関する問題です。エンタープライズアーキテクチャとは、企業の業務プロセスや情報システムの標準化、組織の最適化を進めることにより、効率的な組織構造を実現するための設計思想・基本理念です。次の4つの要素から成り立っており、それぞれで用いる文書類が定義されています。
1.ビジネスアーキテクチャ(BA):政策、業務体系
業務要件の識別や業務構造の考え方を指します。業務説明書、機能構成図、機能情報関連図(DFD)、業務フロー図があります。
2.データアーキテクチャ(DA):データ体系
情報システムで利用するデータの統合、標準化などの考え方を指します。実態関連ダイアグラム(ERD)、情報体系整理図(UML、クラス図)、データ定義表があります。
3.アプリケーションアーキテクチャ(AA):適用処理体系
個別システムと業務要件の対応関係や個別システム間の互換性についての考え方を指します。情報システム関連図、情報システム機能構成図があります。
4.テクノロジーアーキテクチャ(TA):技術体系
技術の変化を考慮した、情報基盤で採用すべき技術標準についての考え方を指します。ネットワーク構成図、ソフトウェア構成図、ハードウェア構成図があります。
それでは早速、各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アの「データの内容やデータ間の関連性を体系化するもの」は、データアーキテクチャ(データ体系)の説明です。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イの「実現すべき業務の姿を体系化するもの」は、ビジネスアーキテクチャ(政策・業務体系)の説明です。機能構成図や業務フローの他にも業務説明書や機能情報関連図(DFD)も用いられます。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢ウの「業務処理に最適な情報システムの形態を体系化するもの」は、アプリケーションアーキテクチャ(適用処理体系)の説明です。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エの「システムを構築する際に利用する技術的構成要素を体系化するもの」は、テクノロジーアーキテクチャ(技術体系)の説明です。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢イとなります。