今日は、企業経営理論 R5 第11問について解説します。
野中郁次郎が提唱した組織的知識創造理論における中核的な概念の 1 つである暗黙知に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア ある時代や分野において支配的規範となる物の見方や捉え方であるパラダイムは、手法的技能としての暗黙知である。
イ 暗黙知は言語化が困難な主観的知識を意味し、そのまま組織的に共有させることが容易である。
ウ 経験は意識的な分析や言語化によっても促進されるため、暗黙知が形式知化されると新たな暗黙知を醸成する。
エ 知識創造の過程は暗黙知と形式知の相互変換であり、集団における暗黙知の共有や一致が知識創造の唯一の出発点である。
オ 豊かな暗黙知の醸成には、経験を積み重ねることが重要で、形式知化を行わないことが推奨される。
解説
SECIモデルに関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
SECI モデルとは、組織的知識創造理論において組織のメンバーが蓄積した知識や経験を組織全体で共有し、新たな発⾒を得るための枠組みで、Socialization(共同化)、Externalization(表出化)、Combination(連結化)、Internalization(内⾯化)の4 つのプロセスから構成されます。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。選択肢にもある通り、パラダイムとは物の見方や捉え方のことを指すため、手法的技能である暗黙知とは関係がありません。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:誤りです。暗黙知は言語化が困難な主観的知識であるため、そのまま組織的に共有させることは困難です。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:その通りです。上のまとめシートの図解にもある通り、内⾯化のプロセスでは、例えばマニュアルに書かれた仕事を覚えて、マニュアルなしでもできるよう練習するといったように、形式知を個⼈の⾏動に落として暗黙知化していきます。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢エ:誤りです。集団における暗黙知の共有や一致が知識創造の唯一の出発点ではなく、上のまとめシートの図解の通りサイクルのように続いているため、出発点に決まりはありません。
よって、この選択肢は×です。
選択肢オ:誤りです。表出化、連結かの過程のように暗黙知を形式知化することにより、SECIモデルがより上手く活用できるといえます。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢ウとなります。
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