今日は、企業経営理論の R4 第16問について解説します。
動機づけ理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 期待理論では、職務成果と報酬とのつながりが明確な場合に報酬の魅力度が高まりやすいことを根拠として、人事評価制度の透明性が仕事に対する従業員のモチベーションを高めると考える。
イ 公平理論では、従業員間で報酬に関する不公平感が生まれないように公正に処遇することで、仕事の量と質を現状よりも高めるように従業員を動機づけられると考える。
ウ 動機づけ・衛生理論(二要因理論)では、職場の物理的な作業条件を改善することは、仕事に対する従業員の不満を解消するための方法として有効ではないと考える。
エ D.C.マクレランドの欲求理論では、達成欲求の高い従業員は、成功確率が低く挑戦的な目標よりも、成功確率が中程度の目標の方により強く動機づけられると考える。
オ D.マグレガーが「X理論」と命名した一連の考え方では、人間は生来的に仕事が嫌いで責任回避の欲求を持つため、やりがいが強く感じられる仕事を与えて責任感を育てる必要があると考える。
解説
動機づけ(モチベーション)理論に関する問題です。
全体像について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。期待理論は、ブルームとローラーによって提唱された理論です。ブルームの提唱する理論では、ある行為によって得られる結果の期待値と、その行為によって得られる報酬の魅力の積が大きいほど、モチベーションが高まるとされています。また、また、ローラーの提唱する理論では、業務遂行の努力が業績に結び付くであろうという期待と、業績が報酬に結び付く期待の2 段階の期待が大きいほど、モチベーションが高まるとされています。
(選択肢の文章は文脈が非常に難しく判断に迷いそうなので一旦パスでも大丈夫です。)
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:誤りです。公平説は、同じ努力の量に対する報酬が他人と比べて公平な状態になるように、不公平と感じた場合、それを是正する方向に動機付けされるという考え方です。例えば、工場で時給制で働いている人が自分の貰っている給料が他の人よりも少ないと感じた場合、生産量を減らそうとしますし、過大な給料をもらっていると感じれば、効率を高めて生産量を増やそうとします。つまり、使用者側で不公平感が生まれないように処遇を公正にするということではなく、従業員の中で不公平と感じた場合に自然と是正する方向に動機づけがされるというものです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:誤りです。ハーズバーグの動機付け・衛生理論では、例えば、仕事のやりがいや仕事の達成感、その仕事をすることによる自身の成長の可能性といった、十分であると仕事への満足度が高まる要因と、給料や職場環境・企業の方針・人間関係といった、不十分であると不満足感が高まる要因の2 つがあると提唱しています。前者を動機付け要因、後者を衛生要因といいます。つまり、職場の物理的な作業条件を改善することは、仕事に対する従業員の不満を解消するための方法として有効な手段であるといえます。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:その通りです。マクレランドの達成動機説では、より良い成績をあげたいという達成意欲である達成動機の高い人は業績達成意識が高い、という考え方が提唱されています。この達成動機の高い人たちは、中程度(50%程度)のリスクを好み、自分の手で仕事を行うことを望み、自分が行った仕事の結果に対してフィードバックを望むという特性があるので、これらを満たすことで動機付けすることができるとされています。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢オ:誤りです。マグレガーのXY 理論では、人には性悪説的なネガティブな部分(X 理論)と性善説的なポジティブな部分(Y 理論)の2つの側面があり、自己実現を目指すY 理論の要素が強い人材は、自らが設定した目標に対してはそれを達成するために積極的に働くため、目標管理制度(MBO)の導入などにより、企業の目標と従業員の目標を一致させることが重要であると提唱しました。X理論の人に対して「やりがいが強く感じられる仕事を与えて責任感を育てる必要があると考える」という部分が誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢アを保留にしていましたが、選択肢エが明らかに〇ですので問題文の「最も適切なものは~」という指示からするとエが妥当と判断します。
以上から、正解は選択肢エとなります。
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