今日は企業経営理論のR2第6問について解説します。
設計、生産、販売などの活動から構成されるバリューチェーン(価値連鎖)の中で、どのステージ(活動)を自社で行うかの決定が、その企業の垂直統合度を決める。
自社で行う活動の数が多いほど垂直統合度が高く、その数が少ないほど垂直統合度が低いとした場合、完成品メーカーA社の垂直統合度を高くする要因に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア A社が使用する素材については、仕入先が多数存在しており、どの仕入先からでも、必要な時に品質の良い素材を仕入れることができる。
イ A社が使用する部品を製造しているすべてのメーカーは、A社に納入する部品製作のために専用機械を購入し、その部品はA社以外に納入することはできない。
ウ A社の完成品を使用する企業や工場は、A社の完成品を使用できなくなると、日常業務が成り立たなくなったり、生産ラインが維持できなくなったりする。
エ A社は、完成品を作るために必要な原材料や部品を提供している会社との間で、将来起こりうるすべての事態に対してA社が不利にならないような契約を交わすことができる。
オ A社は販売代理店を通じて製品を販売しているが、景気の回復局面ではその販売代理店はライバル会社の製品を優先して販売する。
解説
バリューチェーン(価値連鎖)における垂直統合に関する問題です。
垂直統合とは、企業が自社の製品やサービスを市場に供給する際に、複数の生産段階や流通段階を企業内にて統合することをいいます。
それでは早速各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、A社は安定して仕入れができている状況となりますので、垂直統合度を高くする必要はありません。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イは、A社と部品メーカーはお互いに重要な取引関係にあり、また「すべてのメーカー」ということから取引先は一定数存在しており、交渉力の面で不利な状況とは考えにくいことから、垂直統合度を高くする必要はありません。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウは、A社は販売先にとって重要な取引先であり、優位な状況となりますので、垂直統合度を高くする必要はありません。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エは、A社は原材料や部品を提供している会社に対して契約交渉で不利になることはないので、垂直統合度を高くする必要はありません。
よって、この選択肢は×です。
選択肢オは、景気の回復局面ではA社の販売代理店はライバル会社の製品を優先して販売することから、A社の販売量が伸びない可能性があるため、販売代理店を垂直統合することで安定的に販売できるようにする必要があります。
よって、この選択肢は〇です。
以上から正解は選択肢オとなります。
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