今日は、企業経営理論 H26 第30問(2) について解説します。
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
消費行動の分析においては、一般的に消費者個人ではなく、家族という[A]単位、あるいは家計という [B] 単位が基本的な分析の単位として用いられる。その理由は、[C] の選択や [D] の配分において、家族人数に代表される規模的要因が大きく影響するため、個人ベースでの分析よりも家計単位での分析が適しているからである。
[D] の配分としての消費行動は、生活様式や [C] によって規定されるが、消費行動を分析する視点には、3つの代表的アプローチがある。それらは、①ライフサイクル・アプローチ、ライフスタイル・アプローチ、ならびに②ライフコース・アプローチである。いずれも、生活主体としての家族ないし個人の生活構造上の特徴に着目し、その集約的指標と消費行動とを関連付けて分析するための視点である。
(設問 2)
文中の下線部①に示す「ライフサイクル・アプローチ、ライフスタイル・アプローチ」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 近年の家計調査によれば、家族ライフサイクルの終点近くに位置する後期高齢者による耐久消費財支出の増加傾向が読み取れる。
イ ライフサイクル・アプローチに示されるフルネスト(full nest)段階におかれた家計の消費支出をみると、医療、外食、ファッションといった項目の構成比が高まることが分かる。
ウ ライフサイクル・アプローチは、家族という集団を人の一生に例え、「家族のライフサイクル」の普遍的な共通性に着目したアプローチである。個別の家族に固有な出来事の影響を反映した分析を行う点に最も大きな特徴がある。
エ ライフスタイル・アプローチは、モチベーション・リサーチやパーソナリティ研究から発展したサイコグラフィクスを源流とするとされる。
解説
ライフサイクル・アプローチに関する問題です。
ライフサイクル・アプローチについては、まとめシートで以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。家族ライフサイクルの終点近くに位置する後期高齢者の耐久消費財(家電製品や自動車、家具など主に高額商品)の支出は増加傾向というわけではありません。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:誤りです。フルネスト(full nest)段階とは、満杯の巣のことで、子供がいる家族を指します。よって、消費支出のメインは食費や教育費であるとされています。医療、外食、ファッションの構成比が高まるのはエンプティネストとされています。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:誤りです。ライフサイクル・アプローチでは個別の家族に固有な出来事の影響を反映した分析をするものではなく、、各段階の消費者が同質のものと考える考え方です。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:その通りです。サイコグラフィクスとは、ライフスタイルやパーソナリティーなどの心理的なことに関するものです。ライフサイクルアプローチは、これらを元にしたて消費者の行動を分析するものです。こちらの選択肢は少し判断に迷うため、のア~ウが×ですので消去法で〇と選ぶのが現実的です。
よって、この選択肢は〇です。
以上から、正解は選択肢エとなります。
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