今回は組織構造の形態からカンパニー制と持ち株会社についての問題です。
それぞれの組織構造のメリットやデメリットについては、二次試験の事例Ⅰでも、解く上での前提知識として必要ですので、一次試験の対策を通じてしっかり学習しておくようにすると良いと思います。
H29 企業経営理論 第5問
日本企業には、社内分社化であるカンパニー制や持株会社を導入して戦略性を一層高めようとした企業が見られる。カンパニー制と持株会社に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア カンパニー制は、企業グループ内の個々の業態ごとに採用できるが、同一業界でのカンパニーごとの個別最適を許容すればカニバリゼーションの助長につながりうる。
イ カンパニー制は、主要な事業の特定製品やブランドについての管理者をおき、その製品やブランドに関する戦略を策定し、販売活動を調整して統合する機能を持つ。
ウ カンパニー制は、通常、多角化戦略によって事業領域を拡大する際、不確実性の高い新事業を切り離して法人格を持つ別会社として制度的に独立させ、本業や既存事業におよぼすリスクを軽減する。
エ 純粋持株会社は、株式の所有対象としている企業グループ全体の戦略策定と個々の事業の運営を統合して行えるメリットがあり、傘下の企業の経営戦略を標準化し、集中的に管理する制度である。
オ 純粋持株会社は、通常、企業グループ全体の効率的な資源配分が可能となり、雇用形態や労働条件の設定を標準化する機能を持つ。
選択肢アは特に誤りはなさそうです。
念のため他の選択肢も見てみます。
選択肢イは、主要な事業の特定製品やブランドについて管理者を置いてそれに関する戦略を立てるということですが、別にカンパニー制でなくても、事業部制でも十分可能なものですので、カンパニー制に関する記述として適切かというと疑問です。
選択肢アと比較すると、アの方がより適切と考えられます。
選択肢ウは、カンパニー制ではなく持株会社のことを言っているので誤りです。
選択肢エは、「傘下の企業の経営戦略を標準化し、集中的に管理する制度」とありますが、持株会社は別会社とすることで、それぞれに応じた戦略を取れることにメリットがあり、経営戦略を標準化して集中的に管理するためには、同じ会社の1つの事業部として管理するなど別の組織形態の方がやりやすいため誤りと考えられます。
選択肢オの「雇用形態や労働条件の設定を標準化する機能」は、別会社なのでそのような機能はなく、むしろ別会社とすることで雇用形態や労働条件を変えることができるというのが持株会社のメリットでもあるので誤りです。
以上から正解はアとなります。
Amazonベストセラー1位獲得
一目でわかる!覚えてしまう!中小企業診断士一発合格まとめシート
好評発売中
—–